辺野古「唯一の解決策」を踏襲 防衛白書 普天間「5年以内停止」は触れず


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 【東京】2020年版防衛白書では、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「唯一の解決策であるとの考えに変わりはない」との方針が踏襲された。一方で、県が政府に求めていた普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に関しては、19年版まで記載があったが20年版では触れられなかった。19年2月に運用停止の期限を迎え、実現に至らなかったためとみられる。政府と県が基地負担を議論する協議体の開催も、停滞気味な現状がある。

 辺野古新基地建設については19年版とほぼ同様の記載ぶりで、昨年12月に防衛省が示した総工費9300億円と工期12年との見通しや、今年4月に県に軟弱地盤の改良工事に入るための設計変更を申請した経緯が新たに付け加えられた。

 「沖縄の基地負担に向けた協議体制」と題した項目では「普天間飛行場負担軽減推進会議」や「政府・沖縄県協議会」など政府と県などでつくる五つの協議体があることを紹介。19年版では近年の開催状況も記され、県側から普天間飛行場の5年以内の運用停止などの要望があったことを取り上げていた。だが20年版では協議体を列挙するのみで、開催状況や具体的な取り組みについては触れられなかった。20年版ではこのほか環境関連の取り組みについて、今年4月に普天間飛行場で有機フッ素化合物の一種PFOSなど含む泡消火剤が漏出した事故に言及。日米地位協定の環境補足協定に基づき立ち入り調査が実施されたことなどが取り上げられている。