社会
沖縄からSDGs

安心して住み続けられるまちにするには?【SDGsって? 知ろう話そう世界の未来】11


 都市部への人口集中と過疎、安全で適切な価格の住宅に公共交通。地域で安心して住み続けるためには、解決しなければならない課題は多い。ここ数年、多発する自然災害への対応も不可欠だ。SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11は「住み続けられるまちづくりを」。鉄軌道がなく、本土と比べて公共交通システムが弱い沖縄では、市町村のコミュニティーバスが市町村域を越えて運行し、住民の利便性向上を目指す。災害時、地域住民が助け合う「共助」の取り組みもある。これらを紹介する。



交通弱者の足 隣まちまで

コミュニティーバス 中城村・東村

 鉄軌道の路線が広がる本土と比べ、沖縄は公共交通の基盤が乏しい。路線バスが通らない地域では、コミュニティーバスが走り、自家用車などを持たない高齢者や子どもなど交通弱者にとって重要な足となっている。隣の自治体まで運行し、「住み続けられるまち」の一役を担う中城村や東村のバスを紹介する。

 宜野湾市普天間の商業施設サンフティーマ。平日定刻、中城村のマスコット護佐丸(ごさまる)が描かれたカラフルなバスが到着する。その名も護佐丸バスでナンバープレートの数字も「530」。村内全集落と宜野湾市の一部を走る。一般運賃は1回乗車で200円。小中高生や買い物客らに利用される。バスを待っていた普天間高3年の女子2人=村在住=は1年生から利用し「安くてありがたい。バスがあるから学校にも通える」と感謝した。


商業施設サンフティーマを通る中城村の護佐丸バス=15日、宜野湾市普天間

 中城村は西側に面する宜野湾市方面に向かうバスなど公共交通が乏しい。高校進学における希望校の選択肢を増やすことなどを目的に、2015年9月にコミュニティーバスを本格運行した。19年度事業費は2183万円(一般財源)で、運賃収入は426万円の赤字だ。利用者は16年度の2万7739人から19年度は4万1563人に増えた。浜田京介村長は「行政サービスなので今後も続ける」と意気込む。

 本島北部の東村もコミュニティーバスを運行し、路線は近隣の名護市や大宜味村まで網羅する。東村外の通勤・通学ができるよう18年度から始めた。元々あった路線バス(現在は廃止)への補助金をコミュニティーバスの運営に充てているという。東村の60代女性は通院でバスを利用し、「病院は数カ所通う。バスがないと困る」と強調した。

 運賃は無料で、観光客の利用も想定する。名護市や大宜味村で、既存の路線バスに乗り換えできるよう工夫もしている。大きな商業施設がない東村の住民は買い物で村外に出る。交通弱者にとって、バスはライフラインとして大きな比重を占める。村担当者は「皆が安心して住めるよう、地域の足としてたくさん利用してほしい」と願った。

(金良孝矢、下地陽南乃)




つながりの輪で防災

NPO防災サポート沖縄 沖縄市

 7月上旬の豪雨では、熊本県の特別養護老人ホームで入所者14人が亡くなった。東日本大震災でも高齢者や障がい者の死亡率は高く、災害弱者の避難支援は地域の大きな課題でもある。国や自治体は防災計画を策定しているが、実際に災害弱者の所在地を把握し、その支援や避難先の確保について、地域が大きな役割を果たす。

 「広域災害が起きると、消防や警察は全ての現場に行けない。まずは地域住民が自分で自分を守るしかない」。元沖縄市消防長の長堂政美さんは力を込めた。退職後の2017年、NPO法人防災サポート沖縄(沖縄市)を立ち上げた。自治会で自主防災組織の結成や防災リーダー育成を後押しする。4月現在、自主防災組織が市内29カ所で活動している。

 避難時に手助けが必要な要支援者について、地域の自主防災組織が名簿も作成している。東桃原自治会は各世帯にアンケートを配り、支援の要望を聞いた。支援を望む人から顔写真のほか、日中の行動パターン、緊急時の連絡先など情報を提供してもらった。要救助者の避難誘導計画についても個別に2人分作成した。


地域間でも連携しようと、沖縄市の宮里、東、美里仲原の3自治会の自主防災組織が合同で開いた防災フェア。子どもたちは地下水タンクから給水を体験した=2月、沖縄市宮里の若夏公園(NPO防災サポート沖縄提供)

 これらの計画は、日頃からのつながりがあって生きる。胡屋自治会は日常的な助け合いの仕組みを模索し、自主防災組織とは別に話し合いの場もつくっている。

 今月は大型のごみを出すことが身体的な理由で難しいという住民の声を受けて、隣近所に声を掛けて協力者を募り、つながりの輪を広げた。

 自治会の島袋恭治会長は「お互いさまで助け合い、困った時には『みんなが助けてくれる』と思える、ちむぐくるの“クラスター”を作りたい」と話す。

 両自治会に関わる長堂さんは「地域力が防災の要。『自分たちでやろう』という地域づくりを後押ししたい」と笑顔を見せた。

(黒田華)




県内15市町村が導入



 県内で現在、沖縄市など15市町村がコミュニティーバスを運行している。路線バスと同じように、時刻表に合わせてバス停を通過する従来の形式もあれば、住民の予約に応じて走らせる「デマンド型」もある。南城市は昨年10月から路線コミュニティーバス「Nバス」の運行を始めた。デマンド型の「おでかけなんじぃ」も運行し、Nバスでは対応の難しい地域をカバーする。

 糸満市、北中城村ではコミュニティーバスの実証実験を行っている。浦添市では本年度中の導入を目指している。そのほか、通学や高齢者向けのバスを運行している市町村もある。



SDGsとは…
さまざまな課題、みんなの力で解決すること


 気候変動、貧困に不平等。「このままでは地球が危ない」という危機感から、世界が直面しているさまざまな課題を、世界中のみんなの力で解決していこうと2015年、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が決められた。世界中が2030年の目標達成へ取り組んでいく。

 「持続可能な開発」とは、資源を使い尽くしたり環境を破壊したりせず、今の生活をよりよい状態にしていくこと。他者を思いやり、環境を大切にする取り組みだ。たくさんある課題を「貧困」「教育」「安全な水」など17に整理し、それぞれ目標を立てている。

 大切なテーマは「誰一人取り残さない」。誰かを無視したり犠牲にしたりすることなく、どの国・地域の人も、子どももお年寄りも、どんな性の人も、全ての人が大切にされるよう世界を変革しようとしている。

 やるのは新しいことだけではない。例えば、スーパーのレジ袋を断ること。話し合って地域のことを決めること。これまでも大切にしてきたことがたくさんある。視線を未来に向け、日常を見直すことがSDGs達成への第一歩になる。






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