2021年の夏に延期された東京五輪の開幕まで23日であと1年となる。東京パラリンピックの開幕はその約1カ月後。新型コロナウイルスの感染収束への道筋が立たない中、来年の開催についても不透明さを増している。しかし、県勢選手たちは立ち止まってはいない。夢の舞台で光り輝く瞬間を信じ、自らの限界に挑み続けている。
車いすラグビーの仲里進(しん)=アディダスジャパン=が同競技では前人未到の5大会連続のパラ出場を狙う。すでに43歳とベテランの域に達している。「1年後に身体がどうなってるかわからない。不安なことは不安。かといってやらないわけにはいかない」。東京へと腹をくくって備える。
16年にリオで銅メダルを獲得してからは代表から遠ざかった。ハイポインターとして攻守で当たり負けない屈強な身体と体力が求められる。ロンドン、リオ、ともに最後と位置付けて追い込んだだけに、肉体は限界に近づいていた。
それでも代表争いが激しさを増した今年2月の合宿に招集。代表の有力候補が選出される3月のジャパンパラ大会にも出場予定だった。「浮上していく」と順調に調整を進めていたが、新型コロナウイルスの影響で大会は中止に。
今は状況を受け入れて前を向いている。「コロナとつきあいながら、ちょうどよい加減で練習している」。活動自粛を経て、6月から練習を再開した。海外の強豪チームを転戦した経験から、豪州代表のなじみのメンバーとオンライン練習も始めた。「コロナの中でも楽しむ」と互いに刺激を与え合う。
夏に身体をつくり直し、冬に戦術面を詰めて段階的に調子を上げていく。当面の照準は昨年12月に4連覇を逃した日本選手権で所属する沖縄ハリケーンズを優勝に返り咲くことだ。代表合宿もいつ呼ばれるかわからない。「力を発揮できるように準備するだけ」。1年後へすでに再スタートを切っている。
(古川峻)