<東京五輪まで1年>混戦の階級制するため 最適ルートを模索 宮本昌典(重量挙げ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2021年の夏に延期された東京五輪の開幕まで23日であと1年となる。東京パラリンピックの開幕はその約1カ月後。新型コロナウイルスの感染収束への道筋が立たない中、来年の開催についても不透明さを増している。しかし、県勢選手たちは立ち止まってはいない。夢の舞台で光り輝く瞬間を信じ、自らの限界に挑み続けている。

東京国際大ウエイトリフティング部の記録会で試技を行う宮本昌典=4日、埼玉県川越市の同大(本人提供)

 成長著しい23歳のホープは、この1年でさらなる進化を遂げる決意だ。重量挙げ男子73キロ級の宮本昌典(沖縄工高―東京国際大出、同大職)は「まだ若いから延期は自分にとってかなりプラスだ」と意気揚々と練習に励んでいる。着実に伸びしろを広げ、五輪のメダルをつかみに行く。

 学生時代と同じ東京国際大で鍛錬を積む。緊急事態宣言中は練習場を同時に使える人数を減らすなど、制限があったが、今は週6日、みっちり鍛える。大会はないが、大学の記録会で実戦感覚を保っている。

 自己ベストはトータル341キロで、目指すは350キロ。挙げれば世界ランキング2位の重量だ。学生時代から、最短距離でバーベルを挙げる効率的なフォームに評価は高い。ただ「前より力が付いて、昔のフォームから離れる時がある」と感じている。「バーベルが体にくっついて、力を入れなくても挙がる感覚」が理想とし、日々のトレーニングで徐々に取り戻してきているという。「よく馬力がないと言われる」と、下半身を中心に筋力の増強も掲げる。現在12~13%という体脂肪率を1桁台まで絞りたい考え。目標重量は「年内には挙げたい」と力を込める。

 73キロ級はトータル363キロの世界記録を持つ中国選手を除くと、2位以下はベストが340キロ台の選手がひしめく。「かなりの接戦だ。自分にもメダルの可能性は十分ある」。団子状態から一歩抜け出し、最高峰のリフターへと駆け上がる。
 (長嶺真輝)