沖縄県は「GoToトラベル」開始に合わせた水際対策として、22日から那覇空港で発熱者から唾液検体を採取して抗原検査を実施する予定だったが、検査機器を確保できず実施していない。23日、臨時的な対応として医師が鼻の奥の液をぬぐって抗原検査をすると明らかにした。26日までの連休中は医師による採取と検査が可能としているが、その後、いつまで実施できるかは不透明だ。
抗原検査は30~40分程度と短時間で判定が可能なことから、1日程度かかるPCR検査に比べて観光客にも受け入れられやすいと考えられている。鼻の奥の液をぬぐうのは医療行為のため医師でなければ実施できないが、唾液の採取は医師以外もできる。
玉城デニー知事は21日の会見で唾液検体による抗原検査を22日にも開始するとしていた。一方、県の担当者は、検査機器について「8月上旬までにはどうにか調達したい」と話しており、開始時期は未定だ。
県は23日、国際線ターミナルビルに隣接している那覇検疫所那覇空港検疫所支所内に検査用の部屋を設置した。サーモグラフィーで発熱が検知された人を再度検温し、体温が37・5度以上だった場合、旅行者専用相談センター沖縄(TACO)の看護師が検査室まで案内する。検査室に常駐する医師が鼻の奥の液を採取し、簡易キットで判断する。
県によると、22日にはサーモグラフィーで2人の発熱を検知した。うち1人は、再検温しても37・5度以上だったが、問診の協力を断られそのまま通過したという。23日は午後5時時点で検査を受けた人はいない。1人の発熱を検知したが、再検温で37・5度以下だったため検査対象にならなかった。県の糸数公保健衛生統括監は「発熱者が陽性だった場合、空港の外に出る前に検査できる意味は大きい。ただ熱がなく空港を通過する人もいるため、全て解決するわけではない。感染者と接触した県民が早めに感染に気付くことが必要だ」と話した。