138球目、外角いっぱいの直球が捕手の喜多慧人(けいと)のミットに吸い込まれると、冷静に投げ続けていたKBC未来の松竹嬉竜(きりゅう)はマウンドを駆け下りながら左拳をぐっと握り込んだ。1点リードの九回裏2死二、三塁。一打出れば逆転サヨナラという場面で、2年生エースが真価を発揮した。
185センチの長身を生かして角度をつけたフォームから、鋭く変化するスライダーとカーブをテンポ良く内外に投げ分けた。見せ球のチェンジアップや内角をえぐる切れの良い直球も交えて、強打のシード、宮古を相手に三振の山を築いた。
一回裏を三者三振と最高のスタートを切ると、三回まで安打を許さない力投を見せた。宮古の好守に追加点を阻まれる展開にも、制球を重視して低めに投げ続け、15奪三振、1失点で完投した。
「喜多さんのリードを信じて投げ続けた」と笑顔を見せた松竹は「3年生のためにも、1勝でも多く勝ち続けたい」と意気込みを新たにした。
(沖田有吾)