7月に入り、在沖米軍基地での新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。今月7~11日に感染が判明した61人を含め、県のまとめでは24日正午現在の累計感染者数は165人。加えて、在日米海兵隊や嘉手納基地は24日午後、42人の新規感染をSNSで公表した。2月以降の県内の累計患者数を上回る勢いで急速に拡大する基地内の感染に、玉城デニー知事は「米軍基地内で爆発的な感染が起こっている」と危機感を募らせるが、感染拡大防止の有効な手だては見えないままだ。
■検査徹底の結果
「(在沖米四軍調整官の)クラーディ中将への電話会談、河野防衛相、茂木外相への要請などから、米軍のPCR検査の徹底について、その必要性が確認され、順次行われているものと思われる。そのため陽性の人数が多くなっているものと思慮される」
玉城知事は24日の記者会見で、米軍がPCR検査数を増やした結果、感染者数が増えているという認識を示した。
県側の強い要望を受けて米軍は11日から、基地ごとの感染者数の公表や行動履歴の共有などに踏み切った。海軍病院などから提供される陽性者の行動履歴などを基に、県は「積極的疫学調査を進めている」と言うが、感染者の急速な増大に調査が追い付かない懸念もある。
■費用は折半
日本人基地従業員の不安の高まりを受け、県はクラスター(感染者集団)が発生している普天間飛行場とキャンプ・ハンセンの従業員約900人を対象にPCR検査を25、26の両日に実施することを決めた。
玉城知事は「基地従業員の雇用主は日本政府であり、従業員の安全・安心は日本政府が責任を持つべきだ」と強調し続け、全基地従業員へのPCR検査も国に求める。
一方、今回の検査費用について大城玲子保健医療部長は「国庫2分の1事業で行っているので、その事業を使う想定でいる」と述べ、費用負担は国と県の折半の可能性があることを示唆した。検査の実施は急務だが、基地従業員の感染が分かった場合の休業補償など、国がどこまで責任を持って従業員への感染防止策と生活保障に対応するか、課題は山積している。
(座波幸代)