スクイズ激走、沖水決めた 沖尚をタイブレークで下し8強 高校野球夏季大会


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沖水―沖尚 タイブレークに突入した延長10回裏1死満塁、沖水の9番・田島朝人のスクイズで3走・名幸大輔がサヨナラのホームイン=24日、北谷町のアグレスタジアム北谷(又吉康秀撮影)

 土壇場でのチャンスに打順がラッキーボーイに回った。1点を追う沖縄水産の九回。2死一、二塁で打席には5番・名幸大輔が入る。ここまで3打数2安打の好調ぶりをここでも発揮。狙いを絞った直球をたたくと、打球は左中間へ抜け、起死回生の同点適時打となった。

 十回のタイブレークでは名幸は走者で二塁へ。敬遠があって1死満塁。9番・田島朝人は2球連続でバントを試みるが、いずれもファウルとなる。「もうなるようにしかならない」。3球目をうまく球威を殺すと打球は投前に。三走名幸の飛び出しが速く、頭から本塁に突っ込む。審判の腕が横に伸びると沖水ベンチから「よっしゃー」の雄たけび。スタンドは歓声と拍手が交差した。

 名幸がベンチに駆け寄ると、仲間から「よくやったな、ありがとう」と感謝の声。緊張が切れてか、涙でぬれた顔をヘルメットで隠した。同点弾に、サヨナラホームインと活躍した名幸は「(十回は)ホームにかえってくることだけを考えていた。うれしくて我慢できなかった」と大きな笑み。

 上原忠監督は十回を振り返り「スクイズか打たせるか。難しい選択だった」と眉間にしわを寄せた。ただ、期待以上だったというナインの働きに「また1試合、この子たちと野球ができる」と目を細めた。

(上江洲真梨子)