基地従業員が検査に殺到 感染確認から2週間後「遅い」「辞めたい」との声も


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社

 県内では25日、新型コロナウイルスの感染者が新たに14人確認され、県がこれまでに発表した1日当たりの感染者数で最多となった。一方、県が同日までに把握した米軍関係者の感染者数は計229人で、県内の186人を上回っている。同日、県が実施した米軍基地内で働く日本人従業員が対象のPCR検査には、600人以上が詰め掛けた。検査を受け安堵(あんど)する一方で、基地内の感染拡大が続く状況に「恐怖だ」と危機感を募らせた。

基地従業員を対象にしたPCR検査を受けるため、長蛇の列をなす車両=25日午前、沖縄市美原の中部合同庁舎

 県は24日までに、キャンプ・ハンセンと普天間飛行場で勤務する800人以上の対象者へ、沖縄防衛局などを通じて検査の受診を呼び掛けた。検査会場となった沖縄市の中部合同庁舎には、開始時刻の午前10時を待たずに、同8時ごろから検査開始を待つ人の姿があった。キャンプ・ハンセンで働く女性(66)は「検査を受けられてひとまず安心だ」と胸をなでおろした。

 午前9時半ごろ、対象者の車が周辺道路に列をなし、渋滞が発生した。県は開始を30分繰り上げ、対象者を検査場へ誘導。対象者は唾液の検体採取用の容器を受け取り、検体提出まで駐車場で待機した。緊張した表情で検査を受けた後は、足早に立ち去っていった。

 米軍関係者の感染が広がっていることに「恐怖だ。仕事を辞めようかとも考える」と話すのは、普天間飛行場で働く70代の女性。「高齢なので感染すれば重症化もあり得る。毎日気が張って、精神的に疲れる」と表情をこわばらせた。

 ハンセン内にある兵隊向けの食堂で働く50代の男性は、県内の基地内で感染が確認されてから約2週間後の検査に「遅い」と一蹴した。「早期に実施し、職場閉鎖も考えるべきだ。今後も大勢の米軍関係者を相手に働き続ける中で、不安は拭えない」と吐露した。

 出勤前に足を運んだ人もいた。ハンセン勤務の50代の男性は「体調に異変はないが、家族や周囲の人にうつしてしまうのが怖い。米軍は軍関係者の行動を厳しく規制し、日本人従業員と接触しないよう対応すべきだ」と訴えた。

 検査終了予定の午後2時を過ぎても検査を待つ人は途切れず、この日訪れた人が検査を完了したのは同3時ごろ。県の担当者は「想定以上だったが、明日も同数程度を受け入れる準備を整えている」と話した。

 検査終了予定の午後2時を過ぎても検査を待つ人は途切れず、この日訪れた人が検査を完了したのは同3時ごろ。県の担当者は「想定以上だったが、明日も同数程度を受け入れる準備を整えている」と話した。