さらなる創作へ意欲 新報児童文学賞、4氏に贈呈


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琉球新報児童文学賞の短編児童小説部門正賞の南野片吟さん(左から3人目)、短編児童小説部門佳作の島袋千尋さん(同2人目)、創作昔ばなし部門佳作のつきなが海詩さん(左端)、宮國敏弘さん(右端)=26日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 第32回琉球新報児童文学賞の贈呈式が26日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。受賞者4人が執筆で工夫した点や受賞の喜び、さらなる創作への意欲などを語った。

 短編児童小説部門の正賞は南野片吟(みなみのぺんぎん)さん(24)=宜野湾市=の「石敢當と僕」、同部門佳作は島袋千尋さん(36)=浦添市=の「バンシルーの香る夏」。創作昔ばなし部門は正賞の該当作がなく、佳作に宮國敏弘さん(63)=宮古島市=の「島番鷹(すまばんだか)キンミー」と、つきなが海詩(みうた)(本名・久場勝未)さん(58)=那覇市=の「ブクーとあやかし」が選ばれた。贈呈式で琉球新報社の玻名城泰山社長が受賞者へ賞状と副賞を手渡した。

 選考経過の報告で選考委員の新垣勤子さん(児童文学作家)は「石敢當と僕」について「子ども目線で物語が進み、子どもが子どもの力で問題を解決する点がとても爽快だった。日常を脱して冒険してみたいという思いをかなえてくれる作品だと思った」と評価した。

 同じく選考委員の小嶋洋輔さん(名桜大学上級准教授)も同作について「素直に子どもに読んであげたいと思った。主人公の『僕』という存在が自然だった。石敢當というモチーフも面白い。本来の意味を顕在化する手法も鮮やかだった」とたたえた。
 選考委員の二人は佳作の3作品についても評価した点、課題点に触れた上で次回作への期待も込めた。