新型コロナウイルスの警戒レベルが第2段階の「流行警戒期」に引き上がるなど県内で新規感染者数が増える中、県は27日、観光関係者らとの意見交換会を県庁で開いた。観光業界は「県外に対して往来の自粛を要請するべきではない」との認識で一致し、感染対策の強化に力を注ぐべきとの意見が強かった。
出席した富川盛武副知事は会議終了後、琉球新報などに「関係のない離島まで含めて全県的に自粛を要請するのではなく、クラスター(感染者集団)が起きている場所を押さえて対策を取る必要がある」との見解を示した。
玉城デニー知事が28日に発表を予定する県の対応について、富川副知事は「経済的にも疫学的にも両立を図って総合的に判断する」と話した。
会議は非公開で、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)や県レンタカー協会、県ホテル旅館生活衛生同業組合、旅行社、観光施設など県内の6社・団体が集まった。
県の指標によると、第2段階では感染拡大地域との移動の自粛要請も対策として検討される段階となる。これに対し、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の開始や夏休みに向けて回復を目指す観光業界にとって、移動自粛を要請することによる経済的な影響は大きい。
意見交換会で観光業界側は、観光従事者に対するPCR検査の実施や政府の接触確認アプリ「COCOA」の推奨、軽症患者の受け入れ施設の確保など、県外との往来を維持した上で、感染拡大や医療崩壊を防ぐための対策をより強化することを提起した。
会議に参加した関係者は「検査件数が増えれば感染者数も増える。ゴールデンウイークの時と状況も変わっており、来県自粛はすべきでない」と話した。
観光業界には、感染拡大対策を徹底しながら経済活動も継続する「ウィズコロナ」を目指す考えが強い。OCVBの下地芳郎会長は「感染者が増えてきているという事実を踏まえた上で、県民も観光客も対策を強化しないといけない。観光客を受け入れる側も、策定したガイドラインをもう一度確認する必要がある」と話した。