「命のとりで」一日も早く 北部基幹病院合意 住民から歓迎の声


「命のとりで」一日も早く 北部基幹病院合意 住民から歓迎の声
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 【北部】「うれしい限りだ」「高度医療が身近になる」―。北部基幹病院設置に向けた合意書が28日に締結され、設置に向けた関係者や住民は歓迎した。本島北部地域では医師不足など医療体制の弱さから、中南部まで通院を強いられている住民も多い。「命のとりで」として基幹病院の一日も早い設置を願った。

 北部地域基幹病院整備推進会議で会長を務めた高良文雄前本部町長(72)は、2017年3月の住民総決起大会や署名活動で先頭に立ってきた。28日午後、会合が開かれた北部会館に待機して合意の報告を待った。総決起大会から3年以上が経過したことも踏まえ、「遅きに失したが、合意にこぎ着けてほっとした」と嘆息。「住民が安心できる医療体制を一刻も早く構築して」と切望した。

 名護市の女性(62)は6年前、北部地区医師会病院で乳がんを患い、手術を受けた。術後の検査が名護でできず、中部病院まで通った。女性は「手術や検査なども北部で受けられるようになれば住民の負担はかなり軽減される」と訴えた。

 北部の離島に住む男性(37)は今月、南部の産婦人科に妻と共に通った。出産が近づくに伴い通院の頻度も増えた。男性は「北部で完結できるようにしたい。基幹病院には高度な医療を期待したい」と語った。

 名護市市街地から車で1時間半ほどの距離にある国頭村楚洲区。前川尚之区長は「合意はうれしい限りだ。医療体制が整っていることは若い人たちにとって定住の条件にもなる」と期待を寄せた。