県内の新型コロナウイルスの新規感染者数が3日連続で最高人数を更新し、29日の感染者は前日の倍の44人となった。県内経済界からは、感染拡大が続けば観光業のみならず内需も再び落ち込むとの危機感から、対策強化を求める意見が相次いだ。
夏休みを目前に控えたタイミングでの感染拡大に、観光業界は危機感を募らせている。「ある程度の予想はしていたが、急激に広がり過ぎている」。感染者数を聞いた県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長はため息をついた。渡航自粛や休業の要請が出た場合、深刻なダメージを受けることは必至だが、感染拡大への不安も拭えない。「観光客の誘致をするにも、県民の意見も含めて対応を考えないといけない」と複雑な胸中を語った。
沖縄ツーリストの東良和会長は「安全に対する投資をすべきだ。数に一喜一憂せず、対策をどう取っていくかが大事だ」と語り、PCR検査の徹底や軽症者受け入れ施設の確保を急ぐべきだと訴えた。
急速な拡大は県民の消費にも影を落としている。那覇市のデパートリウボウは7月に入り、来客数が前年比8割の水準まで戻っていたが、感染拡大が伝えられた23~26日の4連休は再び同6割まで落ち込んだ。リウボウホールディングスの糸数剛一会長は「県民が外に出なくなるのは感染が怖いからに他ならない。検査を徹底し軽症者をしっかりと隔離する、必要な機器を備えるなど、医療体制を整えることが感染リスクを低くして経済活動を続ける唯一の方法だ。医療に徹底的にお金を使う政策が必要だ」との考えを示した。
那覇市松山のキャバクラ店で14人の感染が確認され、繁華街での感染拡大対策も課題となっている。県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長は「キャバクラ専用のガイドラインを作ることも検討する必要がある。防御策を早急に考えたい」と話した。
自粛要請が出た場合の影響を懸念する声も強い。沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は「緊急事態宣言で打撃を受けた県経済は持ち直しているが、またストップすれば壊滅する」と危機感を募らせる。再び自粛が要請された場合に備え、国や県が補償を含め備える必要があると強調する。
県経営者協会の金城克也会長も「休業要請などを行う場合は、営業収益の減少分が確実に補てんされるような対策を講じてほしい」と求めた。