実弾訓練コロナで中止 在沖海兵隊、移転先の北海道


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 【東京】米軍基地での新型コロナウイルス感染拡大が、在沖海兵隊の訓練の本土移転にも影を落としている。防衛省は29日までに、海兵隊が8月に北海道の矢臼別演習場で予定していた155ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練を新型コロナの影響で中止すると発表した。この訓練は1996年の日米合意に基づき、キャンプ・ハンセンの「県道104号越え」射撃訓練を本土の陸上自衛隊演習場に分散する目的で続いてきたが、本年度はまだ行われていない。

 キャンプ・ハンセンを拠点とする第12海兵連隊には砲兵部隊が編成されており、155ミリりゅう弾砲の射撃訓練を担っている。96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告でこの射撃訓練を本土に分散することが決まり、以来4半期に1度のペースで年度ごとに4回実施されている。矢臼別演習場の射撃訓練は本年度2回目の位置付けだったが、4~6月に予定されていた初回の北富士演習場(山梨県)に続いて中止となった。

 射撃訓練の分散移転先は矢臼別と北富士のほか、王城寺原(宮城県)、東富士(静岡県)、日出生台(大分県)の5演習場から選ばれる。防衛省によると分散実施が始まった97年以降、訓練が1度も行われなかった年はない。「海兵隊の運用上の都合」などを理由に中止になることがあり、2007、08年度は各1回の実施だった。防衛省によると、本年度は秋に東富士での3回目の射撃訓練が計画されており、年明けに予定されている4回目の場所は調整中だという。