県立高校に来年度から設置される「学びの教室(仮称)」は、知的障がいのあるなしにかかわらず、同じ教室で学ぶことを目指すが、知的障がいのある生徒は特別支援学校の在籍で、高校に在籍するほかの生徒とは身分が異なる。入試制度も別枠だ。「共に学ぶ」環境の実現へ一歩進んだものの、壁は残されている。
壁が残された理由として考えられるのは、高校と特別支援学校の教育課程の違いだ。「学びの教室」に通う生徒には特別支援学校の教育課程が適用される。県教育委員会は「学びを保障するため」と説明するが、県外では知的障がいのある生徒を同じ入試制度で入学させ、高校の教育課程内で評価するところもある。県外ではできて、沖縄ではなぜできないのか、疑問は解消しない。
大阪では部落解放運動を背景に、人権保障の観点から知的障がい者の普通高校入学が広がった。県教委の「学びの教室」制度の調査研究はこれからで、今後も変更の余地を残す。定員内不合格が出る入試制度の改革も議論が深まっていない。教育行政だけでなく、地域も含めて議論を重ね、生徒が希望する制度に近づける必要がある。(稲福政俊)