新型コロナウイルスの感染拡大を受け、玉城デニー知事は30日、クラスター(感染者集団)が複数発生している那覇市松山地域の事業所に8月1日からの休業を要請すると発表した。関係者は感染拡大防止のために理解を示す一方で、協力金の金額や支給対象の拡充を求めた。
協力金の金額は、県が4月から5月にかけて緊急事態を宣言して休業を要請した際と同じ20万円。前回は本島全域が対象で、県が対象として想定していた約1万事業者のうち8807社から有効申請があった。一方で、売り上げ規模の大きい店舗などでは休業によって失う利益と協力金の金額が見合わず、休業要請に応じずに営業を続けた店もあったという。
那覇中央社交飲食業協会の伊波興治会長は「20万円では給料を払いきれない。前回は最大200万円を支給する国の持続化給付金があったので、なんとか持ちこたえた店が多い」と話す。キャバクラなどの従業員の中には、いくつかの地域の繁華街で掛け持ち勤務している人もいるとして「生活が厳しくなれば他の地域の店に流れていく人も出てくるだろう。しっかり補償をしないと感染拡大につながりかねない。関連する卸業者などの生活も守る必要がある」と指摘した。
那覇市松山で大型のキャバクラ店を営む事業者は協力金の金額に「微々たるもの」と効果を疑問視し、「客を入れないと困る店舗もある。県の要請を聞き入れないところも出てくるのではないか」と見通した。
休業要請は、関連する事業者にも経済的な打撃を与える。
那覇市松山の酒類卸売店の売り上げは例年と比べ3割ほど落ち込んでいる。関係者は「ここまで激減したことはない」と語る。市内に200店舗ほどある酒の納入先のうち、30日時点で約3割は既に休業している。得意先で感染者が出たため、卸売店の従業員も数人は自宅に帰らず、ホテル住まいをしているという。
県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は「県民の外出が全体的に減少している中で、松山への休業要請はさらに大打撃だ。県民全体が気を引き締める必要がある」と話した。