「外出自粛やむを得ない」 県の緊急事態宣言 県民、賛意と戸惑いと


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 「感染拡大が爆発的に進んでいる」(玉城デニー知事)。沖縄県内の新型コロナウイルスの新規感染者数は、第4段階の「感染蔓延期」の水準を超え、未曽有の段階に入った。新規感染者数は5日連続で最多を更新し、病床利用率は100%を超え、医療体制は逼迫(ひっぱく)する。休業要請や時短営業など、社会経済活動への影響が懸念される緊急事態宣言が発出されたが、多くの県民は県の苦渋の決断を受け入れた。

多くの県民や観光客らが訪れる那覇市の国際通り。県が2度目の緊急事態宣言を発出したことで、社会経済活動への影響が懸念される=31日午後

 繁華街でクラスター(感染者集団)が確認された、石垣市の多良間聡さん(49)=イベント運営業=は「狭い島なので外出もより慎重にならなければと考えている」と話す。「前の緊急事態宣言時は仕事柄、商売を早く再開したいと焦りがあったが、今は全国的に感染拡大の一途なので、外出自粛はやむを得ないと思う」と県の緊急事態宣言に理解を示した。

 名護市内で居酒屋を営む神谷康弘さん(48)=同市=は「これだけ感染者が増えたら緊急事態宣言もやむを得ない。身も守るため、再度の休業も検討している」とため息をつく。5~6月の休業時は県や国からの補償とテークアウト営業で乗り切った。店を再開し、かき入れ時の夏場に期待したタイミングでの感染急増に「GoToキャンペーンが無ければ」と悔しさをにじませた。

 北中城村の大型商業施設で買い物をしていた益元昌子さん(65)=嘉手納町=は「GoToトラベルで県外から観光客が来ているのも感染拡大に影響しているのではないか。県内だけの旅行に限定されていれば感染者は増えていなかったと思う」と国の施策を疑問視した。「感染拡大は不安だ。宣言中は外出を控え、自宅で過ごそうと考えている」と話した。

 南城市役所を訪れた男性(54)は「知事は正しい判断を下した」と強調する。「恐ろしいほど感染者が増えている。今は経済より人の命が優先だ」と言い切った。

 家族旅行で那覇市の国際通りに立ち寄った京都府の40代女性は「こんなに感染者が増えるとは思わなかった」と驚く。「休業要請や外出自粛が出てしまうと旅行に来た意味がなくなってしまう。寂しい」と吐露した。通りにある居酒屋で働く50代男性は「緊急事態宣言が出ると聞いて動揺している。約3カ月間休業して先週から営業が再開したばかりだったのに」と声を落とした。