県内の新型コロナウイルス感染者急増に伴い、各保健所の業務が再び逼迫(ひっぱく)している。中南部を中心に各保健所へ相談の電話が殺到し、つながりにくい状態になっている。那覇市保健所では7月30日に受けた相談が過去最多の276件に上った。コロナ対応に注力するため、県内全6カ所の保健所でエイズウイルス(HIV)検査を再び休止するなど他の業務にも影響が出ている。
那覇市保健所では7月29日、相談件数が約3カ月ぶりに200件を超えた。「感染者と接触したが検査を受けた方がいいのか」など、濃厚接触者以外でも相談する事例が多いという。現在、感染症に対応するグループに他部署から応援の職員が十数人加わり、電話相談や疫学調査などの業務に当たっている。
県の各保健所でも部署を超えて相談、調査に当たっている。だが県地域保健課の担当者は「対応が追いつかない。保健所では一日中電話が鳴りっぱなしだ」と苦しい状況を語る。
7月30日に小学校教諭の感染を発表した糸満市教育委員会にも「自分も濃厚接触者かもしれない。検査を受けたいが、保健所の電話がつながらない」という相談が寄せられている。
那覇市保健所では4月、感染症グループの約半数の職員が残業100時間超だった。担当者は「今後もまた同じ状況になる懸念はある。応援を増やし、1人当たりの負担を減らしたい」と話す。
感染経路不明の事例も増えている。那覇市の担当者は「マンパワーの面で追い切れていない部分もあるかもしれないが、誰から感染したのか本人も分からない事例がけっこうある。市中感染の可能性がある」と指摘した。