新事実や証言を集成、戦争の記憶を継ぐ 本紙連載を一冊に


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【写真説明】「沖縄戦75年 戦禍を生き延びてきた人々」琉球新報社社会部編著(高文研・1980円)

 沖縄戦から75年を迎えるに当たり、琉球新報社社会部が昨年10月から紙面で掲載した四つの連載を中心にまとめた「沖縄戦75年 戦禍を生き延びてきた人々」(高文研・1980円)が出版される。60人余の沖縄戦体験者の証言を本書に収めた。沖縄戦体験者が減り続け、継承の在り方が課題となる中、新事実と証言の発掘に取り組んだ。8月初旬に県内書店に並ぶ予定。

 本書に収めた連載は「10・10空襲」の体験を記録した「あの日、あの場所で 10・10空襲で破壊された街」(2019年10月6日~10日、5回)。沖縄戦の傷痕に焦点を当てた「奪われた日・再生への願い 戦後75年県民の足跡」(20年1月3日~3月29日、32回)。五つのテーマで読者から寄せられた沖縄戦体験記を基に連載を編んだ「読者と刻む沖縄戦」(19年10月10日~連載中)。

 新型コロナウイルス感染拡大の中、あらわになった私権制限などの動きを、沖縄戦体験者らの視点を踏まえて検証した「憲法とコロナ―沖縄の現場から」(20年5月1日~3日、3回)。

 20年6月21日、23日付1面トップの記事で報じた2氏の「証言」も収録した。2氏の体験は最も近い肉親を失った、幼い子どもの悲痛さを伝える。
 松元剛編集局長はあとがきで「不戦の誓いを未来の沖縄社会にもともし続けたいという『琉球新報』の決意を感じ取ってもらえれば、幸いである」とした。問い合わせは高文研(電話)03(3295)3415。