新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むため、県が独自の緊急事態宣言を発出して7日で1週間がたつ。期間中も新規感染者数は若年層を中心に高止まりを続け、感染拡大は抑えられていない。10万人当たりの直近1週間の新規感染者数は6日連続で全国一を記録し続けており、県内の急速な状況悪化は全国でも抜きんでている。県は、重症化するリスクの高い高齢者や基礎疾患を有する人に感染が広がることを懸念。感染拡大で指定医療機関や保健所の負担が増していることも踏まえ、PCR検査の対象の優先順位を見直す議論を始めた。
県は1日、警戒レベルを第2段階から第3段階「感染流行期」に引き上げて、緊急事態宣言を出した。警戒レベルを判断する七つの指標は1日時点で、「病床利用率」と「新規感染者数」の二つの指標が第4段階の「感染蔓延(まんえん)期」に達していた。
6日までには、「入院患者数」と「新規PCR検査陽性率」も加わり、計4指標が第4段階に到達した。
宣言前は本島中南部が感染の中心だったが、期間中に先島地方にも飛び火した。石垣市と宮古島市ではクラスター(感染者集団)が発生。小規模離島の西表島でも初めて感染が確認された。
県は5日から県内全域にエリアを拡大し、県民に対して不要不急の外出自粛を求めている。
行政検査数も増加し続けている。8月1日は289人、2日は359人、3日は450人、4日は310人、5日は486人、6日は364人に上る。感染者数の増加は検査体制を拡充したことも要因の一つだ。
7月末から判明した感染者は比較的若年層が多く、重症者は少数にとどまる。だが少しずつ高齢者の感染割合も増えている。
県の専門家会議は5日の会合で「感染者数を減らすということではなく、重症者を出さない、死亡者を出さないことに軸足を置く」方針を確認した。幅広く網を広げて感染者を把握するこれまでの方針の転換について、県庁内で議論する。
背景には保健所や医療現場の疲弊がある。感染者の濃厚接触者が多すぎて保健所の疫学調査が追いつかないことや、指定医療機関では検査業務が負担となり、治療に専念できないという声が上がっている。ただ若年層でも重症化するリスクはあり、検査方針の転換は今後、丁寧な説明と県民の理解を要する。
緊急事態宣言が終わる15日までに感染拡大に歯止めがかかるかは、まだ見通せない状況だ。
県の糸数公保健衛生統括監は宣言の効果について「専門家会議でも自粛の効果は1週間以上かかると指摘があった。感染のスピードに影響が出るのは少し時間がかかる」と説明した。
(梅田正覚)