学校現場で新型コロナウイルスの感染者が増える中、休校などの判断にばらつきが出ている。県教育委員会は、学校で感染者が出た場合、原則5日程度の臨時休校をするよう求めているが、感染状況や市町村ごとに対応が変わる。「何でうちは休校じゃないの」。情報が少ない分、異なる対応に保護者らの不安や不満は膨らむ。一方、教育行政側も児童生徒の学びを保証しようと苦心している。
「登校させるのは不安だ。欠席させた」。感染者が確認された宜野湾市の小学校に子どもを通わせる30代女性はこう吐露した。
同校PTAは学校と相談し、16日までの臨時休校や校舎の消毒などを市教育委員会に求めた。ただ、教委は11日から学校を再開した。夏休み中だったため、大規模な消毒も必要ないと判断したという。
学校で感染者が出た場合、県教委が原則5日間程度の臨時休校を求めているのは、ウイルスの生存期間とされる72時間(3日間)放置した後、1~2日で消毒作業をするためだ。しかし、県教委は「今回は夏休み中だったので『原則』に当てはまらない」との認識を示した。
結局は学校職員が校内を消毒し、同市は12日から一律で「午前授業」の対応をとった。それでも、女性は不安を抱く。他の市町村では感染者が出た場合に休校措置が取られたケースがあるためだ。感染者が増えている那覇市などは11日から休校となっていることもある。「他では休みの学校もあるのに」と疑問を呈した。
市立小学校でクラスター(感染者集団)が発生した浦添市では、当該校のみを臨時休校し、ほかの小中学校は予定通り11日から2学期が始まっている。
別の小学校に通う児童と中学生の子を持つ浦添市内の男性は「学校は密になり、クラスター化の可能性が高い」と不安視した。感染が広がる中、他校も臨時休校にすることを求めた。
松本哲治市長は12日の記者会見で「子どもの学びの遅れや学童保育、親が仕事を休んだ場合の収入減をどうするかなどの社会的な影響が大きい」と説明した。感染防止と同時に一律休校による影響も懸念されている。