沖縄県は12日、新型コロナウイルス感染症の患者で酸素吸入が必要となる「中等症」の病床数88床のうち71床が埋まっていると発表した。病床の稼働率は80・6%に達し、逼迫(ひっぱく)する。中等症の患者は重症化するリスクがあり、今後の対応に不安が残る。一方で人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」による治療が必要な「重症」の病床数は増えており、改善の兆しが見える。
厚生労働省は新型コロナの患者を「軽症」「中等症」「重症」の3段階に分類する。このうち自力呼吸に支障があり、酸素吸入が必要な状態が中等症にあたる。県は症状に応じた医療提供体制を構築する。軽症者は、無症状者と共にホテルなどの宿泊療養施設や自宅での療養を進め、軽症者よりも重症化の危険性がある中等症者は、専用の病床を設置して対応している。
県は12日までに中等症専用病床を88床確保したが、すでに71床が埋まった。重症の病床数は11日の15床から23床に増え、占有率は80・0%から47・8%に改善した。県内の警戒レベルの判断指標も「感染蔓延期」の「4」から「感染流行期」の「3」に引き下げられた。現在、県が確保する病床数は300床で病床占有率は98・0%。専門家会議で「感染ピーク」と予測される16日までに360床が必要とされる。
糸数公保健衛生統括監は「大きな波に備えて病床確保を進める」としており、感染拡大に対応する医療体制の整備を急いでいる。