安和旧桟橋の解体、県が本部港仮置きを許可 市民、条例違反を指摘


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
安和旧桟橋の解体に伴って発生したコンクリートや鋼材を置く、仮置き場=12日、本部町の本部港塩川地区

 琉球セメントが名護市辺野古の米軍新基地建設用の土砂搬出のために使用していた安和旧桟橋を近く解体する。解体作業で発生したコンクリートや鋼材、浚渫(しゅんせつ)土などの産業廃棄物を仮置きすることを目的に、県は屋部土建に本部港塩川地区内の1500平方メートルの敷地で、作業期間を今月1日から11月末までと定めて「港湾施設用地使用許可」を認めた。安和旧桟橋は今年3月末で使用期限が切れたが、橋の撤去・解体のみ行うことを条件に、県が4月から11月末まで桟橋の「使用許可申請」を認めている。

 辺野古の新基地建設に反対する土木技師で、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「荷さばきや船舶役務など以外の目的で港湾施設を使用することは、港湾法と県の港湾管理条例に違反する」と指摘している。

 解体作業は琉球セメントが発注し、屋部土建が受注している。屋部土建によると、契約期間は2020年7月1日から12月30日まで。屋部土建が北部土木事務所を通して7月9日に本部港塩川地区の使用を県に申請し、8月1日から11月末の作業期間で県から許可を得たという。

 屋部土建の担当者は「旧桟橋の解体作業は、まだ準備中だ」と述べ「解体作業は作業船で行う」と説明した。作業船で解体した廃材を本部港塩川地区の敷地に仮置きし、産業廃棄物処理場に運搬するという。

 県港湾課は「港湾法はさまざまな使用を認めている。これまでも産業廃棄物の仮置き場として許可してきた」と述べ、違法ではないとの認識を示した。

 北上田氏は「浚渫土を積み上げると周囲に汚水が出るが、仮置き場には何の排水対策もされていない」といい、さびた鋼材などの産業廃棄物が環境に与える影響にも懸念を示した。