40代で旅客機パイロット「夢は遠くても見えてくる」 故郷のFMいしがき出演・東盛さん


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 【八重山】数少ない八重山出身パイロットの東盛和市さん(55)=ANAウイングス、愛知県在住=が7日、FMいしがきサンサンラジオの番組収録に臨んだ。紆余(うよ)曲折を経てつかんだパイロットになりたいという幼少期からの夢。旅客機の操縦は40歳すぎという遅咲きで、今も広い空に魅了される。「夢は遠くにあるものだが、できる範囲でステップを踏むことで視野に見えてくる」。経験を踏まえ、八重山の子どもたちにエールを送る。

ラジオ収録に臨む東盛和市さん=7日、石垣市のFMいしがきサンサンラジオスタジオ

 石垣島出身で、幼い頃から父親がよく飛行機を見に連れ出してくれたという。セスナ機での遊覧飛行やYS―11での本島への移動を経験し、空への憧れを募らせていった。八重山高校卒業後は戦闘機パイロットを目指して航空自衛隊に入隊したが、夢は果たせなかった。

 警戒管制の仕事に従事していたが、操縦したいとの気持ちは抑えられず、費用が抑えられる米国で自家用機の免許を取得。20代後半には本島にある軽飛行機をチャーターで運航する会社に転職し、操縦に必要な資格を取得した。メディアの依頼で何度も尖閣諸島上空を飛行するなど、軽飛行機のパイロットとして満足した日々を送っていた。

 だが息子から「なんで小さな飛行機に乗っているの」と言われたことをきっかけに一念発起し、当時36歳以上は厳しいとされていた定期航空会社に、41歳で入社を果たした。

 現在は小型機の機長として、中部国際空港を中心に北海道から鹿児島県までの地方空港を飛び回る。沖縄まで来ることはないが「八重山と一緒で、飛行機が住民の生活路線の所も飛ぶ。離島の人間だから離島の人のために頑張ろうとも思う」と話す。「(担当の)機種転換があれば石垣に飛ぶこともあるかも。そうなったら行かないといかんね」と笑う。

 ゆっくりとだが、夢をかなえるために歩んできた東盛さん。「一つ一つチャレンジすることで知り合いができるなど、夢が視野に入ってくる。ワクワクする夢を見つけて頑張ってほしい」と語った。

 7日にFMいしがきサンサンラジオで収録した内容は、毎週土曜日昼前に石垣で放送される「空色カフェ」で9月5日から計4回にわたり放送される。(大嶺雅俊)