社会

81歳の現役バイク整備士「仕事の時、気分いい」 レンチ握って65年、白バイ整備も

鋭い眼光で白バイのナットを締め上げる又吉盛儀さん=12日、宜野湾市上原の「セイキモータース」

 【宜野湾】「仕事をしている時が断然、気分がいい」。機械油の染みついた厚い手で吹き出す汗を抑えながらバイクに視線を注ぐ又吉盛儀(せいき)さん(81)。16歳からバイクに携わる仕事を始め、整備士歴65年を超える現役整備士だ。県警から依頼を受けた白バイの整備や点検も行う。「体が続く限りは―。他にやることないから―」などと謙遜しつつ、年季の入ったレンチを握る手に衰えはない。

 宜野湾市上原の国道330号沿いにある「セイキモータース」。81歳で今もなお現役の又吉さんは毎日、つなぎ姿で店頭に立つ。店は約45年前、友人から店舗を引き取り始めた。「この辺りはキビ畑ばかりだったよ。道が悪かったせいか、パンクしたバイクの修理依頼が毎日あったよ」と振り返る。


整備中の白バイの前に立つ又吉盛儀さん(右)と長男の盛和さん

 名護市安和出身で、中学卒業後、越来村(現沖縄市)のバイク店に就職した。当時、客のほとんどは米兵で「BSA」「ハーレーダビッドソン」といった大型の外国製バイクの整備がほとんどだった。物が不足した時代、工場には旋盤が並び、部品や工具の大半は整備士らの手によって生み出された。

 「先輩たちはどんな部品でも作りよった。この人たちはエンジンの中から生まれたのでは、と思うほど物知りだった」と振り返る。

 当時の又吉さんの楽しみは、月1度の休みに店主から借りたバイクで友人らと県内を回るツーリングだった。また、モトクロスの競技大会にも参加、軒並み表彰台に立った。「バイクに乗るのが上手だから、整備も上手だろうと、米兵らが修理の依頼をたくさん持ち込んで来た」と笑顔で話す。

 自分の店を持ち、現在地に移ってからも客の信頼は厚い。実直で確かな腕を買われ、店は県警の白バイ隊が乗る1300cc大型バイクの整備、点検などを担っている。元白バイ隊員で長年付き合いのある男性警察官(58)は「とにかく仕事が丁寧。ささいなバイクの不調にも親切に相談に乗ってくれる」と信頼を寄せる。

 約10年前、長男の盛和(もりかず)さん(53)に仕事の大半を任せるようになったが、又吉さんは今でも愛用のつなぎを着て店に立つ。「警察学校の生徒だった若い子たちが、立派になって家族を連れて店に顔を出す。昔なじみの顔を見るのが最近の楽しみだ」と、黒ずんだ部品を片手に白い歯を見せた。

(高辻浩之)



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