古代インドの悲恋に舞う 激情と幻想、対比の美 NSバレエ公演


社会
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「ラ・バヤデール」より第2幕(宮殿の中庭)で華麗に踊る生徒ら=10日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホール

 NSバレエアカデミー(長崎真湖代表)の第47回発表会「バレエへの誘(いざな)い」(主催・NSバレエアカデミー父母会、共催・沖縄インターナショナルバレエCo.)が10日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホールであった。夜の部に行われた「ラ・バヤデール」から第2幕、第3幕を取材した。古代インドを舞台に舞姫と戦士の恋物語をドラマチックに、息の合ったコール・ド・バレエ(群舞)を対比的に見せ魅了した。

 昼の部は各クラスの生徒による演目を上演した。新型コロナ感染症対策を講じ、関係者のみ鑑賞した。真湖は「新たな挑戦作として取り組んだ」と上演への思いを伝えた。

「ラ・バヤデール」より第3幕(影の王国)でソロル役を演じるバットバヤル・プレヴオチル(左)とニキヤ役の野村結佳

 第2幕では戦士ソロルと王ラジャの娘・ガムザッティの婚約を祝う宴で、ソロルの恋人・ニキヤが舞姫(バヤデール)として悲しげに舞った。花かごに仕組まれた毒蛇に倒れる場面も印象に残った。主役のニキヤは野村結佳が、ソロル役をバットバヤル・プレヴオチルが、ガムザッティは宮平愛子が演じた。

 しなやかな身体の動きと、切ない表情でニキヤの悲しみを表現した。壺を頭に乗せて踊る「マヌー」や手足を大きく動かし激しく踊る「太鼓の踊り」などを披露すると、会場は東洋の異国的な雰囲気に包まれ拍手が湧き起こった。

 第3幕はニキヤを裏切り悲しみに暮れるソロルがアヘンを吸い陶酔し、バヤデールの幻覚を見る場面から始まる。影の王国と題し、月がうっすら照らされる薄暗い舞台で、白い衣装に身を包んだ21人の出演者によるコール・ド・バレエが圧倒した。規則的な動きでゆっくりと舞う姿が幻想的な美しさを醸し出した。

 後半にはソロルがニキヤとの「絆」を現す白いスカーフでニキヤを導きながら踊り、永遠の愛を誓う場面を繊細で華やかに表現した。
 (田中芳)