【記者解説】急ごしらえのオンライン学習 人材追いつかず、手当てが急務


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 琉球新報、沖教組、高教組の3者で実施した教職員アンケートで、小中学校の教職員の大半がオンライン学習に対応できないことが分かった。国は児童生徒に1人1台のパソコン・タブレットを配布するGIGAスクール構想を前倒しで進めたものの、現場で活用できるレベルに落とし込めていない。機材整備の遅れのほか、ICT(情報通信技術)を活用できる人材の育成が追いつかなかったことも原因とみられる。

 GIGAスクール構想の予算は自治体の一般財源に組み込まれる。実態は不明だが、逼迫(ひっぱく)した市町村財政の中で、他の用途に転用された可能性も指摘されている。

 学校現場は従前の業務が削減されないままコロナ禍で業務量が増え、オンライン学習への対応も求められている。以前から長時間労働が問題化していた教職員は疲弊している。

 6割の教職員がオンライン学習に「対応できる」と答えた高校・特支も、小中と同じような職場環境だ。教職員の過重労働の上にオンライン学習が成り立っている。

 オンライン学習だけでなく、教職員が児童生徒の心のケアに割ける時間も十分に確保されていない。子どもの学びを保障するためにも、教職員の働き方改革が求められている。
 (稲福政俊)