<識者談話>矢野恵美琉大法科大学院教授 撮影相手見極める教育も必要


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 今回の統計からは元交際相手や元配偶者、またはネット上のみの知人が加害者になるケースが多いことが分かる。加害者の属性が多様なので、写真や映像を撮られる事例も多様だ。知らないうちに撮影され、金銭目的でネット上に掲載されてしまうことや公表すると脅され金銭を取られるケースもある。

 若年女性の被害が深刻だ。交際相手の場合、撮影を断れないケースもある。SNS上のやりとりは当人同士だけだと考えてしまいがちだが、一度インターネット上に流出すると、一瞬で世界中にばらまかれてしまう。ネット上で掲載されたものを全て回収するのは不可能だ。

 事案によっては被害者の不注意などを問う声も聞かれるが、何よりも問題なのは、若い女性を食い物にしようとする加害者だ。流出して困るような写真を撮影しようとする相手を信用しないなど、学校や家庭で教育する必要がある。被害者や加害者を生み出さない環境づくりが大切だ。

(被害者学、ジェンダー法)