[日曜の風・室井佑月氏]モーリシャス重油流出事故 こういうときにこそ


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室井佑月 作家

 インド洋の島国モーリシャス沖で、日本の貨物船が座礁し、燃料の重油が美しい海に大量に放出された。大変なことだ。元どおりになるには、数十年の歳月が必要らしい。

 もちろん、モーリシャス政府は損害賠償を求める。報道によれば、賠償金は船を運行していた商船三井ではなく、船主の長鋪汽船や、同社が契約する保険組合が支払うことになりそうだ。

 それにしても、損害賠償金の請求は当たり前のこととして、この事故に関し、日本はもっと誠意を見せるべきではないだろうか。各国のメディアが環境危機について報じ、旧宗主国フランスのマクロン大統領など「フランスはモーリシャスの人々と共にある」と表明をした。しかし、加害者側となるこの国の動きは悪い。

 17日付の日本経済新聞によると「外務省は17日、(中略)国際緊急援助隊の2次隊を派遣すると発表した。(中略)19日に日本を出発し、現地で活動中の1次隊と交代する。2次隊は外務省から1人、環境省4人、国際協力機構(JICA)2人の7人で構成する」。

 なお、10日に日本を出発した1次隊は4人であった。

 それっぽっちでなにができるというのだ。普段から小ざかしいパフォーマンスばかりしている小泉進次郎環境相は、こういう危機のときこそ現地へ飛べというのだ。靖国神社参拝というパフォーマンスより、より大事なパフォーマンスではないか。

 いいや、パフォーマンスではなく、日本にはできることがある。実際、「ナホトカ号重油流出事故」も乗り越えた。1997年に島根県隠岐島沖でロシアのタンカーが座礁した。あのときは、海上保安庁や海上自衛隊、そして全国から集まったボランティアで重油の回収作業をした。

 今こそ国会を開き、自衛隊を送り出すべきではないか。

 日本は福島第一原発が事故を起こし、いまだに放射線物質が漏れている。名護市辺野古の埋め立てをする。この国は積極的に海を汚す国、と世界から煙たがられそうだ。

(室井佑月、作家)