那覇軍港を浦添市に移設する必要性があるかどうかは、もう一度議論が必要だ。軍港の代替施設条件付きの返還が決まってからかなりの時がたった。必要な軍事施設かどうかは検証を要する。ホワイトビーチ地区や天願桟橋といった他の施設もある。
那覇軍港は事実上の「遊休」状態にある。こういう基地を日本側が税金で民港に造ること自体、本当に必要なのか。移設という名を借りて使えなくなった那覇軍港を使いやすい最新の施設に造り替えるだけの話ではないか。移設容認は新たな基地を認めることになる。(玉城デニー知事らは)なぜ辺野古は反対するのに那覇軍港は容認するのか。同じ海の埋め立てで、「ダブルスタンダード」だ。浦添の埋め立て地周辺には美しい自然海岸が残る。海を埋め立てることの是非を県民はしっかり考えないといけない。軍事上の観点からは、牧港補給基地(キャンプ・キンザー)に近いところに港を置くのは、至極当たり前の論理だ。しかし今はキンザーの全面返還が合意されている。果たして合理性はあるのか疑問だ。
松本哲治浦添市長は1期目の最大公約で浦添市への軍港移設を反対したのに、当選後には撤回した。2期目は軍港位置の北側案見直しを訴えて当選した。今回北側案に同意したことは、選挙民主主義に対する冒涜(ぼうとく)だ。移設の是非は、次の知事選や市長選で民意を問うべきだろう。民意で必要との結果が出るならば、その時に安全性を確認して跡地利用も議論する体制を整えて移設を進めるべきだ。
(安全保障論)