迫る土砂、ブロック塀の崩落 台風8号の大雨 沖縄各地に爪痕


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幅約8メートル、高さ約3メートルの土砂崩れが発生したマンション建設に向けた造成現場=25日午前11時50分ごろ、沖縄市松本

 【中・北部】猛烈な雨をもたらした台風8号は沖縄県内各地に爪痕を残した。本島中・北部では工事中の道路斜面や民家のブロック塀が崩落するなど被害が相次いだ。住宅近くで起きた崩落に住民からは不安の声が漏れた。

 うるま市消防本部には、24日午後8時前、同市栄野比の住民から「家の前まで土砂が崩れてきている」と通報があった。改良工事で造成中の道路斜面が幅約80メートル、高さ約8メートルにわたり崩落し、最も近い民家の1メートル手前まで迫っていた。

 土砂崩れを受け避難した斜面上部の住宅に暮らす60代女性は、一夜明け自宅に戻った。「昨日は斜面が崩れているのを見てパニックになった。今も気持ちが落ち着かない状況だ」と心境を語った。

土砂とともに崩落した民家のブロック塀=25日午後、うるま市屋慶名

 うるま市与那城屋慶名の民家でもブロック塀と擁壁が幅約10メートル、高さ約3メートルにわたり崩落した。住民の40代男性によると、24日午後6時半ごろ「ドーン」という大きな音が聞こえ、外を見ると塀が崩れていた。老朽化し元々崩れやすい状態にあったという。

 沖縄市松本のマンション建設に向けた工事現場では幅約8メートル、高さ約3メートルにわたり土砂崩れが発生。崩れた土砂の影響で敷地内の塀は壊れ、コンクリート壁にも大きな亀裂が入った。崩落は隣接する民家の玄関まで数メートルに迫った。工事関係者は25日、崩落現場を埋めるなどの復旧作業に追われた。近隣住民は「周辺は最大20センチほど水かさが上がっていた。さらに崩れていたら大変だった」と話した。

 国頭村奥では楚洲向けの県道70号で幅6メートル、高さ約2メートルの土砂崩れが確認された。村役場によると道路は全面通行止めとなっていたが、25日正午までに土砂の撤去作業が完了し、通行止めが解除された。人的被害はなかった。恩納村名嘉真でも土砂崩れが起き、農道が一時通行できなくなった。25日正午までに土砂が除去され、通行が回復した。