石垣陸自配備めぐる住民投票 1カ月で有権者の4割署名、議会では2度否決


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
石垣市平得大俣の陸上自衛隊駐屯地建設現場(資料写真)

 沖縄県石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の署名活動は2018年10月31日に始まった。市住民投票を求める会は11月30日までの1カ月間で、市内有権者の4割近い1万4263筆(有効署名総数)を集めた。

 本請求を受けた市は同12月に市議会に住民投票条例案を提出。19年1月に市議会での審議が開始したが、同2月1日、市議会は可否同数の議長裁決で条例案を否決した。同日は名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票が、石垣市でも実施できることが決まった日だった。

 沖縄防衛局は同年3月1日、平得大俣での駐屯地建設工事を開始した。住民投票実施に賛成した市議会野党は同月、選択肢を一部変更した上で住民投票条例案を議員提案したが、6月に与党の反対で再び否決された。

 住民投票を求める会は、市自治基本条例に基づき市長に住民投票を実施する義務があると主張したが、直接請求の効力は消滅したとする市との議論は平行線をたどった。求める会は同年9月19日、市に対して住民投票実施を命じるよう求める義務付け訴訟を提起した。

 提訴後には、与党の一部が自治基本条例の廃止条例案を提出する事態も起きた。与党内の非自民系議員の理解も得られず廃止条例案は否決されたが、可決されれば「自治体の憲法」とも称される自治基本条例が全国で初めて廃止される事態だった。

 20年3月には市議会の可決で、陸自配備予定地の半分を占める市有地を防衛局に提供することが決まった。

 訴訟は6月9日の第4回口頭弁論で結審した。