UberEats上陸、注文してみた コロナ禍の沖縄で勝算は?


この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

  飲食品宅配「Uber Eats(ウーバーイーツ)」のサービスが26日午前9時から、沖縄県で始まった。運営会社のウーバージャパンによると、対象地域は那覇市北部と浦添市の一部だが、今後はエリアを拡大していく考えだという。本当に温かい状態で商品が届くのか。そもそも、配達員は足りているのだろうか。専用アプリでクレジットカードの登録を済ませ、午前11時過ぎ、さっそく注文してみた。

■ハンバーガー温かく

 店舗に選んだのは那覇市安里のハンバーガーダイナー「フリップフロップ」。スマホを使い、この店で注文した商品を約2・5キロ離れた那覇市泉崎の琉球新報までどれぐらいで届くのか試してみた。11時8分、チーズバーガー(ポテト付)を注文したところ、店内のタブレット端末に注文を知らせる画面が出てきた。「へえ、こんな風になるんだ」と店主の森田翔吾さん。早速、調理を開始した。

 この時、手元のスマートフォンの出てきた配達予定時間は11時45分となっていた。

注文後、記者のスマホに出てきた表示

 11時17分ごろ、森田さんが調理が完了したことをタブレットで知らせると、スマホの画面が切り替わり、配達員のjahn(ジャン)さんが自転車で移動している様子がリアルタイムで確認できた。 

配達員が自転車で移動している様子が映し出される

 時折、強い雨が打ち付ける中、雨がっぱを着たジャンさんが店に到着したのは11時26分、専用リュックから保温ケースを手慣れた様子で受け取り、さっそうと自転車にまたがると琉球新報へ向かった。店から配達先に向かう際も、移動している経路や現在地を見ることができ、到着までの残り時間も知らせてくれた。 

 ジャンさんが到着したのは同36分ごろだった。注文から配達までに掛かった時間は約28分、温かい状態でハンバーガーが届いた。 

温かい状態で記者の元に届いたハンバーガー

■「めっちゃ働きやすい」 

 20代のジャンさんは神奈川県在住だが、1週間の「配達遠征」で沖縄に来たという。ジャンさんは「Uber側から応援を頼まれたのではなく、自主的に来た。1日の目標は15件。沖縄はまだ配達員が少ないと思う。僕以外にも沖縄で配達しようと来県する人がいるようだ」と語る。ジャンさんによると、配達のリクエストはスマホに届き、受ける、受けないは配達員の自由。「めっちゃ働きやすいです」と語ると自転車に乗って去っていった。

ハンバーガーを受け取り、自転車に乗って届ける配達員

 ちなみに注文したチーズバーガーは1500円で、配達料は320円。税込で1820円の支払いとなった。ハンバーガーは割高感があるが、実はこれは「ウーバー価格」。店舗で出す際は950円だが、商品価格の35%はウーバー側が得る仕組みのため、価格を上げないともうけはでないのだ。森田さんはSNSなどで店舗の価格と、ウーバーで出す際の価格は違うことを発信している。

■上乗せ価格は「宣伝費」

 森田さんは「本当は店に訪れてもらって、温かい商品を食べてほしい。でも、ウーバーイーツはネームバリューがあるし、1回食べてもらって、実際に足を運んでもらえればこちらの勝ち。無料の広告宣伝費だと思っている」と狙いを語った。

 那覇市西のレストラン「ピパ―チキッチン」も加盟店に登録している。店主の池城安信さんも「若い子連れのお母さんたちが多く訪れるが、コロナでなかなか店舗に来られなくなってしまった。家でお店の味を楽しんでもらい、落ち着いたらまた店に来てほしい」と語った。

配達員のジャンさん(左)に出来たてのハンバーガーを渡す「フリップフロップ」店主の森田翔吾さん

 いずれも、森田さん、池城さんともにウーバーの加盟店登録がPR効果につながると捉えている。 

 ウーバージャパンによると、沖縄の加盟店は「70店以上」だが、配達員の数は公表していない。同社は「アプリのタップ一つでさまざまなお料理をオーダーできる楽しさ、料理が平均30分で届く便利さを、ぜひご体験いただきたい」と県内での広がりを期待する。 

 実際に注文してみて、確かに30分で届く便利さは体感できた。そしてハンバーガーも温かくておいしかった。でも、配達料も含めると、やっぱり値段は高い気もする。車社会の沖縄でウーバーイーツが本当に浸透するのだろうかとも思う。今後も注目していきたい。

(池田哲平)