沖縄県は26日、県庁内に設けている新型コロナウイルス感染症対策本部の「総括情報部」を報道陣に公開した。約60人のスタッフが病床の確保や離島からの患者搬送の手配など、業務に奔走する。沖縄は7月から1800人を超える感染者が発生し、26日までに25人の死者も出るなど感染拡大の「第2波」にある。県民の命と健康を守る最前線の現場に入った。
那覇市泉崎の県庁4階。普段は行事で使われる講堂が、コロナ対策の“司令塔”となっている。講堂の舞台前に設置されたモニターには、コロナ患者を受け入れる医療機関の入床状況が色分けて表示されていた。「満床」を示す赤色が目立つ。県内の病床が逼迫(ひっぱく)する厳しい現状を刻々と映し出す。
モニター前では、複数の職員が真剣な表情で話し合いを続けていた。輪の中には連携する制服姿の自衛隊員、海上保安庁の職員の姿もあった。報道陣を案内した県職員が「離島の患者を本島の病院にヘリコプターで搬送する。その打ち合わせだ」と明かした。新型コロナ特別措置法に基づき、県は対策本部を設置し、総括情報部はその直轄組織に位置付けられる。
県の保健医療部が中心となり、クラスター(感染者集団)の対策に当たる「病院・施設対策チーム」など約10班で構成される。「コロナ患者に対応する看護師や医師に向けたメンタルケアを行うチームもある」(県職員)という。
他部から応援に入った県職員、厚生労働省の職員ら計約60人が日夜作業に当たっている。
県によると、総括情報部が現体制に移行したのは、新型コロナの「第2波」が猛威をふるい始めた8月中旬。急激な感染拡大を受け、4月から5月にかけての「第1波」から人員を約2倍に増員した。患者が急増し、病床の逼迫が顕著となった時には24時間態勢で対応に当たる。総括情報部「医療チーム」のチームリーダー嘉数広樹さんは「困難な状況だが、職員一丸となって対応していく」と力を込めた。