<識者評論>安倍政権、雇用拡大で恩恵 今後の財政再建がコロナ対策左右も りゅうぎん総研・久高豊専務


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 安倍政権下の経済政策で、特に沖縄は雇用拡大の面で恩恵を受け、日本復帰後、ここまで完全失業率が下がることは初めてのことだった。

 インバウンド(訪日外国人客)、観光を産業として重視し、経済振興につなげることに積極的だった。その結果、県内を訪れる外国人観光客数は年間300万人を超えるほどに増え、県経済の拡大に影響を与えた。金融政策によって円安の流れを作り出し、インバウンドが入ってきやすい環境ができたことも後押ししただろう。

 ただ、アベノミクスで金融緩和、財政出動、規制緩和による成長戦略を打ち出したものの、2度にわたる消費増税が消費に影響を与え、経済拡大の勢いをそいだ面もある。

 新型コロナウイルス感染症の対応では、日本は米国やドイツと肩を並べるくらいの財政支出をしている。その結果として、企業倒産の抑制、雇用が維持されるなど結果も出ている。ただ、政権幹部から財政緊縮に関する発言も出ている。感染症の影響が続く中で、次の政権がこれまでの路線から、財政再建路線に軸足を移すことが心配される。

 経済回復に向けて、本来ならば消費減税が必要な状況だ。次期政権の財政への考え方が県経済に大きく影響を与える可能性もある。

(りゅうぎん総合研究所専務)