辺野古移設「最も実現性の高い方策」 県の役割「建設に反対することではない」 仲井真弘多元知事


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、仲井真弘多元知事は、埋め立て承認に至るまでの経緯や自身の思い、考え方も陳述書につづった。辺野古移設について「最も実現性の高い方策で、そのことは現在も変わっていない」と評価している。承認直後、県外移設の公約を翻したとの批判に対し「県外が最も早いという考えは変わらない」と述べており、整合性が問われる。

 埋め立て承認については「普天間飛行場の早期閉鎖・返還を最重要課題として辺野古地区への移設を容認し、厳格に審査した上で埋め立て事業を承認した」と正当性を主張している。辺野古移設計画を白紙にすれば「普天間飛行場は事実上固定化する」とも記述。

 2010年の知事選公約は県外移設を掲げて当選したが、陳述書では「県の役割は代替施設建設に反対し工事を止める努力をすることではない」と否定している。その上で「周辺地域住民の生活に十分配慮し影響を最小にすること。地域が豊かになるような政策を実施すること」と強調した。

 一方、埋め立て承認申請を審査する際には当時の土木建築部長に対し「自然体で淡々と慎重かつ丁寧に審査をするように」と命じたことを明らかにしている。

 県政だけでなく、名護市政にも言及。稲嶺進前市長の市政は「代替施設周辺地域の基盤整備に消極的で、下水道整備計画を白紙に戻すなど地域住民への配慮を欠いていた」と記した。稲嶺前市長が市長選で自民党が推す候補に負けた背景として指摘している。

 仲井真元知事は退任後、自民党県連の最高顧問を務めているが、琉球新報など地元紙の取材に応じることはほとんどなく、陳述書は仲井真元知事の認識をうかがい知る数少ない資料だ。埋め立てを承認したことについては直後の本紙などによる県内世論調査で回答者の7割が公約違反だと回答した。