新型コロナと気候変動の閣僚級オンライン会合を機に、生物多様性条約や県内のサンゴ再生などに関わる名古屋大学大学院の香坂玲教授に、沖縄の自然と気候変動対策について聞いた。
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―沖縄の生物多様性への、気候変動のリスクは。
「沖縄には極めてユニークな生態系があり、生物多様性の象徴的な場所だ。海水温上昇によるサンゴの白化など気候変動が与える被害は沖縄でも顕著だ」
―沖縄でできる気候変動対策は。
「島単位で持続可能性を追求する動きが世界各地で進んでいる。島ごとに再生可能なエネルギーを創出して二酸化炭素の排出量を減らす、漂着する廃プラスチックを含めたリサイクルの仕組みをつくることなどだ。石油エネルギーに頼らない移動手段を確保する取り組みも注目されている。県民のほか観光客にも環境負荷を低減するライフスタイルを啓発する必要があるだろう」
―気候変動対策へ、沖縄の自然にはどのような力があるか。
「サンゴ礁やマングローブ林には、津波や高潮から陸地を守る防災機能があるほか、最近では大気中の二酸化炭素を固定するブルーカーボンとしての役割が注目されている。コンクリートなど人工物にはない多くの機能が自然物にはあり、維持費は安い。人口や経済規模が縮退する今こそ、保全と両立する利用の在り方を模索したい」
(聞き手・黒田華)
こうさか・りょう 名古屋大学大学院環境学研究科社会環境学専攻教授。専門は国際自然資源管理、環境政策学。国連環境計画の生物多様性条約事務局に勤務し、生物多様性条約COP10支援実行委員会アドバイザーなどを歴任。県内では恩納村でサンゴ再生や、伝統野菜の保全・活用プロジェクトに関わる。著書に「生物多様性と私たち」(岩波書店)ほか多数。