南北大東 避難急ぐ 台風10号 コロナ重なり「疲労増す」


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コロナ対策で間仕切りされた避難所。高齢者や海外からの技能実習生らが避難した=4日午後7時53分、南大東島の村多目的交流センター多目的交流センター

 【南大東で照屋大哲】特別警報級の勢力に発達する恐れがある台風10号の接近を受け、大東島地方では4日、役場職員が新型コロナウイルス対策をしながら避難所を開設した。午後8時時点で南大東で45人、北大東で9人が避難した。南大東では避難者数が想定の50人に迫る勢いで、担当者が対応に追われた。時折強い雨が打ち付け、避難者は不安な夜を過ごした。

 南大東島では、役場職員が朝から県内外からの電話対応に追われた。午前9時に台風対策会議を開き、職員は避難所設置に汗を流した。ある職員は「経験したことがないから大変だ」と語り、別の職員は「コロナと台風で疲労度は増す。大変だが、島民の安心安全のためしっかりやりたい」と汗を拭った。

 住民らは臨時航空便で届いた食材をスーパーで買い求めたり、窓をベニヤ板で覆ったりするなど対策に追われた。午前中は太陽が照り付けたが、午後になると時折強い雨が降り出し、港には高い波が打ち寄せた。

 午後1時には島民へ避難指示を出し、50人の受け入れを想定した避難所を村多目的交流センターに開設した。新型コロナ対策として、会議用デスクとダンボールで間仕切りを設置し、持病がある人は別室に案内した。避難所に来た宮城栄蔵さん(88)は「命を守るために避難した。コロナ対応もされていて安心する」と語った。名嘉静子さん(81)は「普段はコロナが心配で家から出ない。コロナも台風も早く過ぎ去ってほしい」と心配そうな表情を見せた。

 避難所には高齢者のほか海外からの技能実習生なども避難し、受け入れ想定人数を上回る勢いとなった。1人用のスペースを2人で使用してもらうなど、職員らは対応に苦慮した。避難所の班長を務める、消防団の城間政克さん(54)は「明日の対策本部会議で他の場所も開設するか話し合うと思う」と焦りをにじませた。

 北大東島では午前9時に対策本部を設置し、午後5時に村複合型福祉施設に避難所を開設した。担当職員によると9人が避難し、個室で過ごしている。入口では検温、消毒など新型コロナ対策も実施する。島内の高台にある民間ホテルに避難するため、5日から予約している住民が約30人いるという。