相次ぐ台風襲来で野菜が品薄、高騰 「これまでに経験ない」物流停滞


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台風の影響で商品を入荷できないため、空となっている県産野菜の陳列棚=8日、サンエー那覇メインプレイス

 8月末から相次ぐ台風の影響で野菜が品薄となっている。沖縄県産野菜は台風8号で被害を受け、県外産の野菜は台風9、10号で船が入港できず入荷できない状態が続いており、スーパーの棚から野菜がなくなる状況となっている。沖縄協同青果は「今週の木曜か金曜日には船が入港する予定なので、品薄状態は少し回復するのではないか」としている。ただ、九州を中心に産地が台風や大雨の被害を受けていることで、野菜類の品薄と高値が当面続く可能性がある。

 県内小売最大手のサンエーの野菜コーナーは通常なら商品がふんだんにある平日の午前中にもかかわらず、空棚が目立つ。

 県産野菜のゴーヤー、ヘチマ、オクラ、モーイは8月後半の台風8号で被害を受け、入荷量が大幅に減少した。オクラは10月上旬には入荷できる見込みだが、ゴーヤーとヘチマは回復の見込みはないという。

 レタスやキャベツ、白菜など県外産の葉野菜は今月3日に入荷する予定だったが、台風の影響で貨物船が入港できなかったため、約1週間入荷がない状態となっている。このため野菜を分割して点数を増やすことで商品供給しているが、4分の1カットの白菜が258円など価格は高騰している。安価なもやしも6割は県外産のため、午前中で品切れになっている。

 サンエーの担当者は「ここまで商品が止まったことはない。台風で航路が影響を受けたことが大きいが、以前ならこの状態の時は空路で運んでいた。今年はコロナの影響で減便となっており農作物が載せられない。ダブルパンチだ」とため息をついた。

 イオン琉球も、カット野菜や冷凍野菜の売り場を拡大して対応している。担当者は「野菜の高騰が落ち着いたところに相次ぐ台風で物流が止まっている。県外産の葉野菜は全国的なものなので、どうしようもない」と頭を抱えた。

 沖縄協同青果の担当者は「ゴーヤー、オクラ、ヘチマの県産野菜は収穫が大詰めを迎え、9月はもともと量が少ない。その中での台風で量がさらに少なくなった」と説明する。通常この時期は、県産野菜は1日に30トンが市場に入荷するが、7日は10分の1の3トンほどしかなかった。県外産野菜も通常この時期であれば市場に1日あたり80トンほど入荷するが、8日は46トンだった。台風10号の九州への影響はまだ明らかになっていない。沖縄協同青果の担当者は「11月から九州産のキャベツや白菜、大根が入ってくる予定だが、台風の影響で塩害被害などがあるかもしれない」と不安視した。