琉球フォーラム コロナ禍 国家超え連帯を 講師 大澤真幸さん(社会学者)


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リモートで講演する大澤真幸氏=9日、那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・玻名城泰山琉球新報社長)の9月定例会が9日、那覇市の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハで開かれた。社会学者の大澤真幸氏がオンラインで「普遍的連帯への歩みはなぜ始まらないのか」との演題で講演した。

講演に聞き入る会員ら

 地球規模で起きている新型コロナウイルスの感染問題を解決するには、国家を超えた連帯が必要だが、真逆なことが起きているという現象を紹介し、「なぜ人類レベルの連帯ができていないのか」と問題提起した。大澤氏は「国ごとが自分の利益を追求すれば、新型コロナの問題が深刻化する。地球温暖化や格差の問題も一つの国だけで解決できる問題ではない」と述べた。

 国際通貨基金(IMF)が6月に発表した世界経済見通しで、2020年の世界全体の成長率はマイナス4・9%と予測した。しかし、日本国内の株価は今年4月以降V字回復で好調に推移する傾向にある。大澤氏は「資本主義の構造の中で、(市場が)この極端な危機を認めていない。資本主義に対する執着があるため、国家間の連帯もできていない」と分析した。