旭琉会トップに賠償命令 那覇地裁、特殊詐欺で使用者責任


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
那覇地裁

 指定暴力団旭琉会三代目富永一家の組員が関与する特殊詐欺グループに現金をだまし取られたとして、県内在住の被害者2人が旭琉会花城松一会長代行に計1034万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁(山口和宏裁判長)は9日、花城氏に対し、被害者に317万円を支払うよう命じた。花城氏に暴力団対策法上の「使用者責任」を認めた。特殊詐欺事件について、指定暴力団トップの使用者責任が認定されるのは県内初。弁護団は「暴力団の資金源になっている特殊詐欺の抑止につながれば」と強調した。

 判決によると被害者2人は2017年6月、警察官や金融庁職員に成り済ました「かけ子」の男からの電話を受け、「受け子」の男にキャッシュカードをだまし取られた。三代目富永一家の組員がかけ子や受け子を指示して、被害者からカードの暗証番号を聞き、現金自動預払機(ATM)から計262万円を引き出させたという。
 山口裁判長は、犯行について「原告らの不安な心理状態を利用した卑劣かつ狡猾なものといえる」と指摘。組員が所属する三代目富永一家の事実上のトップである花城氏について、被害者2人に対して暴対法上の「損害賠償義務を負う」と判示した。
 沖縄弁護士会の有志21人が参加した弁護団の団長を務めた、宮里猛弁護士は「暴力団の資金源になっている特殊詐欺事件で、司法が使用者責任を認めたことに意義がある」と指摘。「特殊詐欺は高齢者をターゲットにした卑劣な犯罪だ。被害者の方には、泣き寝入りすることなく恐れずに立ち向かってほしい」と話した。