「オール沖縄」首長選の敗北続く 今帰仁に続き西原でも 内部結束に課題


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西原町長選で初当選し、花束を受け取る崎原盛秀氏(左から2人目)=13日午後10時20分ごろ、西原町小橋川の選挙事務所

 13日の西原町長選は、無所属新人で元副町長の崎原盛秀氏が社民党や共産党、一部保守など「オール沖縄」勢力が全面支援した無所属新人で前副町長の小橋川明氏を下し、初当選した。「オール沖縄」勢にとっては8月の今帰仁村長選に続く敗北となる。ただ崎原氏も選挙戦では「オール沖縄」の立場を掲げていただけに、年内にも想定される次期衆院選に向け、内部の結束に課題を残す結果となった。

 上間明町政下で副町長を務めた2氏による一騎打ちとなった今回の西原町長選は、社民、共産、社大、国民民主、立憲民主、れいわ新選組の6政党と政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」が小橋川氏を推薦した。対する崎原氏は完全無所属ながら、自民、公明が町内の企業を動かすなど水面下で崎原氏の支援に回った。町議会関係者によると、より「オール沖縄」色の強い小橋川氏に反発した自公の支持者が崎原氏に流れたという。

 選挙戦で小橋川氏は「オール沖縄候補者選考会議で選ばれたオール沖縄の候補者」とアピール。対する崎原氏は「オール沖縄の立場で玉城県政を支持する」としつつも「オール沖縄より『オール西原』だ」と「町民党」の立場を強調した。

 一方、玉城デニー知事は今帰仁村長選との対応とは打って変わって、「静観」(与党幹部)し、小橋川陣営から依頼された「ため書き」も出すことはなかった。知事に近い与党幹部の一人は「結果的に知事が動かなくて良かった。今回の敗北が知事のダメージになることはない」と語った。

 ただ、別の幹部は今回の選挙について「地域の選挙にオール沖縄側の政党が関与すべきではない。今回の選挙で内部の亀裂が深まった」と話した。一方、西原町の事情に詳しい与党幹部の一人は「選挙戦の背景には副町長人事を巡る対立があり、今回の結果はあくまで地域事情が影響した結果だ」と主張した。
 (荒井良平、吉田健一)