平良氏擁立論、首相交代で加速 オール沖縄は年内解散にらむ


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 「オール沖縄」勢力による衆院沖縄4区の候補者選考は社大党書記長で那覇市議の平良識子(さとこ)氏が擁立される公算となった。今後は選挙費用や人員の捻出など選挙戦に向けた態勢づくりが焦点となる。菅内閣が発足し、年内の解散総選挙も想定される中、平良氏の擁立が決まれば1~4区の沖縄全選挙区で対決の構図が固まり、選挙戦に向けた動きが本格化する。

 16日、南城市内で行われた選考委員会では、平良氏のほか、大学教授や労組関係者ら7人の名前が挙がった。ただ、選考委や複数の県政与党幹部によると、平良氏の市議としての活動などを総合的に勘案し、平良氏でまとまる見通しという。昨年8月に発足した選考委はこれまで政党間の駆け引きもあり、膠着(こうちゃく)状態が長く続いた。動きが出たのは今年7月、一部委員の反対の中、選考委による投票が行われ、オール沖縄会議共同代表で県政策参与の照屋義実氏に出馬を要請することを決めた。

 選考委を務める照屋氏は要請を固辞した。その上で12日の会合では、議論を加速させることを念頭に意中の候補として平良氏や前参院議員の糸数慶子氏、政治団体「新しい風・にぬふぁぶし」共同代表の金城徹氏らの名前を挙げた。

 照屋氏周辺によると、照屋氏に平良氏を推薦したのは知事に近い与党幹部の一人で、同幹部は「安倍首相の突然の辞任により、年内解散が、より現実味を帯びてきた。いたずらに時間をかけるよりも有力候補を軸に具体的な協議に入った方がいいと思い、平良氏の名前を出した」と明かした。

 一方、平良氏を巡っては、独自の候補者擁立を目指す立憲民主党が昨年8月に水面下で出馬を打診したが、社大党など各政党の反発もあり、擁立の話が立ち消えとなった経緯がある。
 (吉田健一)