菅内閣発足「沖縄振興に尽力を」 コロナや中小企業対策に期待


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 官房長官として沖縄政策に携わってきた菅義偉氏が16日、首相に就任し新たな内閣が発足した。新型コロナウイルス感染症で深刻な打撃を受けた県経済の立て直しが急務となる中、県内の経済団体からは新たな制度の創立や、中小・小規模事業者へのさらなる支援を求める意見が上がった。

 県経済団体会議の石嶺伝一郎議長は菅首相について「沖縄振興に深い理解を示し、これまでもさまざまな振興策を積極的に推進してきた。政策実行力に期待したい」と述べ、沖縄振興への取り組みに期待を示した。

 河野太郎沖縄担当相に対しては「沖縄が抱える諸問題に引き続き取り組んでもらい、県の振興発展に尽力してほしい」と語った。

 観光業界は感染症の深刻な打撃を受けている。

 県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「感染症で県経済は足腰の弱さが露呈した。沖縄観光の付加価値を上げ、観光従事者の雇用や所得の底上げをサポートしてほしい」と語った。

 新たな沖縄振興計画の策定が控えていることに触れ「基地問題などで政府と県の対立が続いているが、経済は経済として考えてほしい。沖縄振興の議論が足踏みにならないよう議論を積み重ねていってほしい」と述べた。

 廃業する店舗も現れるなど、苦境に立たされている飲食業。県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は、持続化給付金や雇用調整助成金などの支援継続が必要だとして「新内閣にはコロナ対策と同時に経済活動を重視してほしい」と注文した。

 県中小企業家同友会の喜納朝勝代表理事は、菅首相が中小企業再編の必要性に言及していることに危機感を抱く。「日本の経済発展を支えてきたのは大企業だけではない。地域経済の基盤になっているのは中小企業だ。中小企業が資本に行き詰まり倒産しないように、永久劣後ローンの制度を早期に創設してほしい」と求めた。

 県酒造組合の佐久本学会長は、泡盛の海外輸出プロジェクトへの支援を求める。「新型コロナウイルスの影響で海外への営業活動が止まっているが、古酒の味はヨーロッパで評価されている。海外輸出を引き続き支援してほしい」と求めた。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は、新たに就任した野上浩太郎農林水産大臣について「食料の安定供給ができる農業生産基盤の強化と、食料安全保障を主軸に据えた政策を打ち出してほしい」とし、県内の農業振興について期待を込めた。