沖電、石炭火力を28年に46%に削減へ 経産WG「消極的」と注文も


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沖縄電力の具志川火力発電所(沖縄電力提供)

 【東京】非効率な石炭火力発電の削減に向けた具体策を話し合う経済産業省のワーキンググループ(WG)が18日にあり、沖縄電力などから意見を聴取した。沖電は原子力や水力の導入が困難な地域特性から、石炭火力が6割を占める現在の電源構成が「最適」だとした。一方、既存のLNG(液化天然ガス)発電設備の稼働率を高めることで2028年度には石炭の割合を46%まで下げる考えを示した。

 これに対し委員からは、他の電力大手が設備の休廃止や更新を進める中、既存設備を寿命まで維持する姿勢に「そんな消極的な対応で国民が本当に納得するのか」と注文も付いた。

 WGで沖電の上間淳取締役企画部長は、春や秋の電力需要は60万キロワット程度のため、大電力を発電する高効率設備の導入は非現実的だと説明。既存の非効率設備が県内で導入できる「最高効率」だとし、そのフェードアウトは「沖縄では脱石炭となり、電気料金高騰で県民生活に甚大な影響を与えかねない」と話した。

 その上で、太陽光発電が増える晴天時に石炭火力設備1台を止めることが年間150回程度あり、バイオマス混燃により環境負荷を低減させているとして理解を求めた。

 一方、石炭比率を減らす電源開発計画がなく、設備更新のタイミングに合わせて「最適な電源を改めて考える」とした姿勢に、委員の松村敏弘・東京大社会科学研究所教授は「成り行き任せで積極的な対応をしない、という風に聞こえた」と疑問視した。石炭火力を廃止すると実質的にLNGが100%となり「エネルギーセキュリティー上大きなリスクを抱える」という沖電の説明には、「議論に飛躍がある。(石炭)依存を減らすのと、ゼロにするのは違う」と批判した。

 また、電源開発が運営した「沖縄やんばる海水揚水発電所」の廃止に触れ、「沖電は経営判断によって事実上の廃止に追い込んだ。そのような経営判断をした責任を十分に考えてほしい」と指摘した。