沖縄戦継承へ意義強調 栃木で「島守の塔」シンポ 映画支援呼び掛け


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映画「島守の塔」製作委員会主催で開かれたシンポジウム=19日、栃木県宇都宮市の県総合文化センター

 【栃木】沖縄戦当時の島田叡知事と荒井退造県警察部長の姿や県民の苦悩を描く映画「島守の塔」の製作委員会は19日、「島守」シンポジウムを荒井部長の出身地である栃木県宇都宮市の同県総合文化センターで開催した。五十嵐匠監督が基調講演し、沖縄から製作委員会委員長の嘉数昇明元沖縄県副知事が登壇した。沖縄と、島田知事と荒井部長の出身地である兵庫県と栃木県のつながりを再確認した。

 主催者発表で400人が参加した。五十嵐監督は、戦争経験者が少なくなる中での映画の意義を強調し「役者たちも全力でやりたいと言っている。再来年公開の形で動いている」と製作への支援を呼び掛けた。

 沖縄と兵庫、栃木の3県の関係者が登壇したシンポジウムでは、嘉数元副知事が映画について「歴史のギャップを埋めていく大きな役割がある」と強調した。兵庫県からは神戸新聞の小野秀明執行役員経営企画局長が、県高校野球新人中央大会の島田杯などを挙げ「沖縄と兵庫は島田さんを通じて長く深い交流が続いている」と紹介。栃木県からは荒井部長の母校宇都宮高校の齋藤宏夫元校長が島田杯に続く「荒井杯」創設の経緯を説明した。

 イベントは荒井退造生誕120年記念で顕彰を目的に行われた。来賓あいさつで福田富一栃木県知事は「戦争の悲惨な記憶が薄れつつある中、荒井退造の託した、平和と命の尊さが広く県民に受け継がれていくことを期待している」と述べた。