知事「米軍訓練の移転へ、対話求めていく」 県議会代表質問


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沖縄県議会9月定例会は24日、代表質問が始まった。各質問に対する主な答弁は次の通り。

<基地・安保> 尖閣周辺の安全確保、国に求める

島尻忠明氏 普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古移設に反対しているが、返還実現の方策はあるのか。

玉城デニー知事 万国津梁(しんりょう)会議の提言を論拠の一つとして活用し、訓練の県外・国外移転などについて対話に応じるよう日米両政府に求めていく。

島尻氏 辺野古設計変更の承認申請で今後の手続きに要する日数を伺う。

上原国定土木建築部長 大規模な地盤改良工事の追加だけでなく、施工計画の大幅な見直しなど変更箇所が多岐にわたり、日数を答えるのは困難だ。

照屋大河氏 尖閣諸島周辺海域で安全操業を願う地元漁民にどう対応するか。  

玉城知事 戦前から沖縄の漁業者が利用する海域だ。中国公船による追尾などはあってはならない。国に安全確保を求める。  

照屋氏 尖閣周辺の漁業状況を伺う。  

長嶺豊農林水産部長 トラブルを懸念し、周辺海域で操業を控える漁業者が増え、漁獲量も減少している。  

照屋氏 「敵基地攻撃能力」保有の議論について県の立場を伺う。  金城賢知事公室長 敵基地攻撃能力を有するミサイルなどの県内配備はさらなる基地負担の増加につながり、県民の理解も得られない。仮に計画された場合、断固反対する。

 

<経済・振興>下地島の「宇宙港」観光スポットに

座波一氏 下地島空港に宇宙港の拠点を整備する計画の実現可能性や観光振興への波及効果は。
上原国定土建部長 無人宇宙機の法的整備がされたことから実施可能と判断した。宇宙機の開発状況などを観光スポットとして提供することから観光客の増加が見込まれる。
島尻忠明氏 おきなわ彩発見バスツアー促進事業で県外学校の修学旅行も補助対象とする必要があるのではないか。
渡久地一浩文化観光スポーツ部長 主に県外旅行社が手配する県外学校の修学旅行については活用は難しい。修学旅行に特化したガイドラインの作成など、環境を整備して誘致を図る。
仲宗根悟氏 シークヮーサー立ち枯れへの対応と対策は。
長嶺豊農林水産部長 試験研究機関などで構成する対策チームを設置し原因究明に向けた調査を進めている。調査結果の説明会や効果的な対策についての講習会を行うなど、生産振興対策に取り組んでいく。

 

<教育>オンライン授業、受信環境の整備必要

 座波一氏 中高校でオンライン授業を実施する場合の課題は。
 金城弘昌教育長 オンライン学習をするためには生徒側の受信環境の整備と同時に、教員が授業動画を準備する必要がある。課題として、家庭に端末やワイファイ環境がない児童生徒への対応や授業動画等を作成する教員のICT活用力の向上等が挙げられる。
 仲宗根悟氏 第32軍司令部壕を県指定の戦争遺跡に検討しているのか。
 金城教育長 第32軍壕を文化財に指定するためには壕の詳細な構造や遺物の存在について調査し、評価する必要がある。しかし、内部は崩壊の危険性が高く、酸素が欠乏している箇所もあることから、過去の調査も一部の現状を確認したのみにとどまっている。文化財指定は子ども生活福祉部が設置する検討委員会の議論を踏まえ対応したい。

 

<保健・医療>乳幼児予防接種の定期接種呼び掛け

島尻忠明氏 新型コロナで一般診療に影響が出ている一方で、感染を警戒し、必要な診療や予防接種を控える事例が相次いでいたようだが。
大城玲子保健医療部長 県医師会の調査によると、第1波は外出自粛や受診控えの影響で、一般診療所の総収益は2~3割減少したとの報告がある。同様に乳幼児の予防接種の接種控えがあった。適正な年齢で予防接種を受けることが感染対策のためには重要であることから、6月8日付事務連絡で定期接種を控えることがないよう周知した。9月までの上半期の接種状況の把握と監視を行っていく。