感染の再拡大を防ぐには? 医療・高齢者施設の感染対策 検査拡充を視野に


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 県内の新型コロナウイルスの新規感染者が26日、3週間ぶりに20人になった。県内では3月末から4月にかけて感染の「第1波」、7月から再び感染が拡大し、8月上旬をピークに「第2波」が起き、県は独自に2度目の緊急事態宣言を発出した。宣言解除後は、新規感染者数が減少傾向にあり専門家は「小康期」と捉える。一方で散発の陽性が確認され、4連休で人の移動が活発化するなど予断を許さない状況が続く。クラスター(感染者集団)が発生すると、感染が再燃する可能性もある。今後、沖縄が取り得る対策とは何か。

 7月以降の第2波ではクラスターが目立った。県によると、7月以降はクラスターが19施設で発生、計343人が感染した。中でも、医療施設5カ所で107人、高齢者施設2カ所で47人のクラスターが発生。看護師や医師が濃厚接触者となると、2週間の自宅待機が必要となり、救急診療を休止するなど業務に影響が出た。現場の医師は医療施設でのクラスター発生を「ボディーブローのように(病院の)体力を消耗した」と表現する。

 第2波では70代以上の高齢者が重症化し死亡するケースが目立った。高齢者施設でクラスターが発生すると重症化のリスクが高くなるため、今後は施設における感染予防が重要となる。高齢者施設での感染対策について県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は「感染者は原則として入院措置となるが、濃厚接触者の入居者へのケアを適切な感染対策のもとで継続していく必要がある」と指摘。訪問看護サービスの導入を検討するなど、施設の状況に応じた感染対策の重要性を強調する。

 秋冬にはインフルエンザ流行も予想され、県はさらなる検査体制の拡充を視野に入れる。県の糸数公保健衛生統括監は「介護施設等については、早い段階で流行を見つけられるように働き掛けたい」と話す。その上で、現在爆発的な流行はないが、感染経路不明の市中感染を懸念。「会食に行く時などは慎重に行動してほしい」と呼び掛けた。