「諦めずみんなで議論を」陳情者訴え 闘鶏禁止条例の不採択


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 【糸満】28日の糸満市議会9月定例会本会議最終日で、闘鶏を禁止する市独自の条例の制定を求める陳情が不採択となった。陳情者の本田京子さん(44)=同市=は29日、普段通り傷付いた鶏の世話をしながら「痛々しい傷を見ても、闘鶏は文化だと言えるだろうか。なぜ禁止に向かえないのか」と疑問を投げ掛け、沖縄県民全体で議論する必要性を訴えた。

本田京子さんが保護している闘鶏の1羽。攻撃力を上げるため、下くちばしが切断されたとみられる。うまく餌をついばむことができない=29日、糸満市内

 本田さんは数年前から市内で、闘鶏で負傷し遺棄されたとみられる鶏を保護している。現在保護しているのは87羽。頭蓋骨が露出していたり、目が深くえぐられていたり、瀕死(ひんし)の状態で袋詰めにされた鶏も発見された。

 市議会では民生委員会が中心となり、県や県警への質問状送付、保護施設の視察や情報収集などを進めた。しかし陳情提出から約10カ月間の継続審議の結果、市内での闘鶏実施が確認されていないことなどを理由に採択しなかった。

 「闘鶏を禁止すれば、闘牛やヒージャーオーラセーにも議論が及び、沖縄文化の否定につながる可能性をみんな恐れているのだと思う」と本田さん。「諦めずに、みんなで議論する方法を考えていきたい」と話した。