沖縄県内、観光回復に期待 団体旅行は依然厳しく 東京「GoTo」きょう追加


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沖縄を訪れる観光客ら=30日午後、那覇空港

 1日から、政府の国内旅行喚起策「Go To トラベル」の対象地域に、これまで除外されていた東京が追加された。沖縄を訪れる国内客のうち東京方面は約半数を占める市場で、観光回復に向けて期待が高まる。一方、団体客を中心とする事業者にとってGo Toの恩恵は乏しく、先行きは依然として厳しい。

 都民限定プラン

 東京都民限定の商品を発売するホテルもある。県内でホテルを展開するカトープレジャーグループは、都民限定で多数の特典を付けた商品を販売している。同社が経営するグランディスタイル沖縄読谷ホテル&リゾート(読谷村)では、宿泊予約1件に9つの特典を付ける。ディナーを追加し、チェックアウトの時間は正午まで延長、オーガニックアメニティーのプレゼントなど手厚く歓待する。

 リピーターを維持するために、GoToの割引以外に宿泊価格は下げず、特典を豪勢にした。担当者は「旅行ができなかった期間のストレスを癒やしに来て欲しい」と話した。

 ビジネス需要

 沖縄から県外へのビジネス需要も動き始めている。ビジネス客を中心に取り扱う国際旅行社(那覇市)では、8月まで予約が前年比で9割以上落ち込んでいたが、東京が追加される方針が示された9月中旬ごろから予約が動き始め、同20~30%程度に増えている。「Go!To!出張」プランも発売し、需要回復を目指す。

 だが、会議目的の出張がコロナ禍でオンラインに切り替わったこともあり、需要がどの程度戻るかは見通せていない。同社営業部の諸見里一壽次長は「まだまだ回復とは言えず、コロナ前のように戻るとは思っていない。新しい商品の提案など、課題は沢山ある」と話した。

 届かぬ恩恵

 一方、団体旅行を取り扱う貸切バス事業者はGo Toの恩恵をほとんど受けられていない。業界内でも「団体旅行の回復は一番最後」と言われている。

 本島内で貸切バス事業を展開するバス会社の駐車場には、休車した車両が立ち並んでいた。例年この時期は修学旅行が相次ぎ、1日50~70台は運行するが、現在はほぼ動いていない。

 修学旅行は全て中止・延期となり、上半期の売り上げはほぼゼロ。バスガイドや運転手は3月ごろから自宅待機となり、7カ月がたつ。10月後半ごろから延期になった修学旅行の予約が入っているが、直前で中止になる可能性が高いとみている。

 同社の関係者は「このご時世に団体で旅行する人はいないだろう。どんなに安全対策をアピールしても、できることが限られている。財政支援をしてもらいたいというのが本音だ」と話した。 (中村優希)